イットー

イットーの軌跡

イットーは、日本の競走馬の中でも特に名高い牝馬です。彼女は高松宮杯やスワンステークスなどの重賞競走で優勝し、1973年には優駿賞最優秀3歳牝馬、1975年には最優秀5歳以上牝馬に選出されました。さらに、繁殖牝馬としても顕著な成功を収め、二冠牝馬のハギノトップレディや宝塚記念優勝馬のハギノカムイオーといった優秀な産駒を育て上げ、「華麗なる一族」と称される牝系の中興の祖となっています。

出生・幼駒時代

イットーは、母ミスマルミチから生まれました。母馬は重賞未勝利でしたが、素質を持つ8勝馬です。ミスマルミチは、繁殖初年度に入った1970年に競走生活を続行するはずでしたが、早世した半姉の影響で、繁殖入りすることとなります。そして、交配された種牡馬ヴェンチアは外国から輸入された新しい血統の馬でした。にて、1971年4月19日に恵まれた牝駒が誕生しました。荻伏牧場の社長、斎藤隆氏がその馬の素質を非常に高く評価し、同馬は牧場の持ち馬として育てられることになりました。

馬名の由来

イットーは、育成を終えた後、栗東トレーニングセンターの田中好雄厩舎に入厩しました。田中氏もその素質に感銘を受け、馬名を決めさせてほしいと申し出ました。これを受け入れた結果、「一刀両断」から「イットー」と名付けられました。この馬名は、歌舞伎からのインスピレーションがあるともいわれています。

戦績と評価

イットーの競走生活は1973年11月11日に始まり、デビュー戦では圧倒的な差をつけて勝利を収めました。その後も好調を維持し、最終的に年度代表馬としての評価を受けます。しかし、翌年には不運が続き、故障による長期休養を余儀なくされました。この影響で、桜花賞やオークスの出場チャンスを逃したのです。復帰後も怪我や競走中のアクシデントが相次ぎましたが、最終的にはスワンステークスや高松宮杯での勝利を収め、この年には最優秀5歳以上牝馬の座を獲得しました。

繁殖牝馬としての成功

イットーは引退後、繁殖牝馬としてのキャリアが始まりました。初年度には荻伏牧場が導入した種牡馬との交配が行われ、ハギノトップレディを出産しました。トップレディはその後、多くのレコードを打ち立て、長きにわたって名馬として評価されます。イットーの産駒はその血統の力を示し、次世代に影響を与え続けました。その後も繁殖業に携わりながら彼女が育てた数々の馬たちは、競馬界において独自の名声を築くことになります。

イットーは1996年に繁殖を引退しましたが、その後は功労馬として荻伏牧場で余生を送りました。彼女は27年の長い旅路を経て、1997年に発症していた病が悪化し安楽死の措置を受けました。その間、イットーの影響は現在でも競馬界に燦然と輝き続けています。

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