イニゴ・アリスタ

イニゴ・アリスタ：初代ナバラ国王の生涯と業績

イニゴ・アリスタ（Íñigo Arista, 790年頃 - 851/2年）は、初代ナバラ国王（パンプローナ国王）と考えられているバスク人の統率者です。816年のパンコルボの戦いでの勝利後、その名を知られるようになり、824年のカロリング軍の敗北後に王位に就いたとされています。

生い立ちと出自

イニゴ・アリスタの出自については、確かなことはわかっていません。父親の名前についても諸説あり、レイレ修道院の文書には「ヒメノの息子」と記されているものもあれば、「ガルシアの息子」と記されているものもあります。また、アラブの年代記作者は彼を「イブン・ワンナコ（Wannaqoの息子）」と呼んでいますが、いずれも確証に欠けます。

彼の母親は、地元のムラディ領主ムサ・イブン・フォルトゥン・アル・カサウィと結婚し、ムサ・イブン・ムサ・アル・カサウィをもうけました。この関係から、イニゴはムサ・イブン・ムサと同盟を結び、勢力拡大に繋げました。

権力掌握

イニゴ家は、フランク王国と後ウマイヤ朝の支配権をめぐる争いの中で勢力を拡大しました。799年には親フランク派によってパンプローナ総督が暗殺され、816年には親フランク派のベラスコ・エル・ガスコンが敗北したことで、イニゴが権力を握る機会が訪れます。

820年、イニゴはアラゴン伯領に干渉し、フランク人の家臣を追放し、義理の息子を支持しました。824年には、カロリング軍がパンプローナに遠征しましたが、ロンセスバレスの戦いで敗北しました。この戦いの後、イニゴはパンプローナ王位に就いたと考えられています。

イニゴは、イスラム教徒とキリスト教徒を互いに対立させ続け、外部勢力からの独立を維持しました。

反乱と晩年

840年、イニゴの領地はサラゴサのワーリーに攻撃され、異父弟ムサ・イブン・ムサの反乱につながりました。イニゴの息子ガルシアは、ムサ・イブン・ムサに合流し、コルドバのアミール領に対する反乱を起こしました。アブド・アッラフマーン2世は、報復のための遠征を行いましたが、全面的な和平が達成されました。

850年、ムサ・イブン・ムサは再び反乱を起こし、イニゴの使節がフランス宮廷に迎えられました。

イニゴは851年末または852年初めに死去し、息子のガルシア・イニゲスが王位を継承しました。

レイレ修道院との関係

イニゴは、レイレ修道院に領地と財産を寄進し、修道院の発展に貢献しました。彼は851/852年に死去した後、レイレ修道院に埋葬されました。

家族

イニゴ・アリスタの妃の名前は不明ですが、後の資料にはトダまたはオネカと記されています。彼の子女には、アソナ・イニゲス、ガルシア・イニゲス、ガリンド・イニゲスなどがいます。

イニゴ・アリスタは、ナバラ王国の創始者として、その後の歴史に大きな影響を与えました。彼の生涯は謎に包まれていますが、その功績は長く語り継がれています。

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