イラク共産党

イラク共産党 (Iraqi Communist Party)

イラク共産党は、イラクにおける主要な共産主義政党であり、その略称はICPです。この党は1935年、アッシリア人のユースフ・サルマーン・ユースフによって設立され、イラク史の中で最も古い政党の一つとされています。特にイラク南部での強い支持を受けており、党員の多くがシーア派に属しています。

歴史的背景

イラク王国時代に成立したこの政党は、様々な歴史的変遷を経てきました。1956年には国民民主党やバアス党などと共同で国民連合戦線を結成し、後の7月14日革命ではカーシム政権の一員として活動しました。この時期、イラク初の女性閣僚ナズィーハ・アッ＝ドゥライミーも選出され、特に「革命市」として知られる「サダムシティ」や「サドルシティ」が形成されました。

しかし、政治的環境は厳しく、特に汎アラブ主義者の反発により党は弾圧を受けました。7月17日革命後には、バアス党のアフマド・ハサン・アル＝バクルと連携を模索し、1973年にはバアス党とともに国民進歩戦線を形成しました。私立大学の学生組織では、当時の共産党がバアス党よりも影響力を持っていたとされています。

フセイン政権下での状況

サッダーム・フセインが大統領に就任する直前の1979年、共産党は「バアス党以外の政党の軍との接触禁止」に違反したとして非合法化されました。その後、1989年には約7万人の党員が逮捕され、フセイン政権下ではシリアに拠点を置いて北部のクルド人地域でも地下活動を続けていました。これらの過程で、党員の一部は2003年まで小規模な衛星政党を形成するなどしました。

政治活動の再開

2003年にフセイン政権が崩壊した直後、イラク共産党は公然と活動を再開しました。反体制組織との連携を強化し、米軍占領下ではムーサ書記長がイラク統治評議会のメンバーとなり、数名の閣僚も輩出しました。その後の2005年の選挙では、イラク暫定政権の中で主要な役割を果たし、イヤード・アッラーウィーやガーズィー・ヤーワルといった著名な政治家とも連携しました。

2018年のイラク議会選挙では、党首のハミード・マジード・ムーサがシーア派イスラム主義者のムクタダー・アッ＝サドルと共に新たな政党連合を結成。その結果、54議席を獲得し、議会で第一党に躍進しました。特に宗教的に保守的なナジャフにおける勝利は注目を集めました。

まとめ

イラク共産党は、その長い歴史の中で数々の政治的困難に直面してきましたが、依然としてイラク政治において重要な存在であり続けています。特に、同党の再興はイラクにおける政治状況の変化を映し出しています。また、シーア派からの支持の受け入れが今後の党の動向に影響を与えることは間違いありません。

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