イワオウギ属

イワオウギ属 (Hedysarum)

イワオウギ属は、マメ科に分類される属の一つで、学名はHedysarumと表記されます。和名では「岩黄耆属」と漢字で表記されます。

特徴

イワオウギ属の植物は、多年草または半低木であり、まれに低木となる種類も存在します。葉は奇数羽状複葉で構成され、小葉の縁は全縁（切れ込みがない）であることが特徴です。また、小葉の付け根には小托葉を欠いています。花は総状花序を形成し、紅紫色または淡黄色の花を咲かせます。豆果は節果となり、1個から数個の小節果から成り立っています。

分布域は広く、北半球の温帯から亜寒帯にかけて約100種が知られています。日本国内には、以下の2種が自生しています。

日本の種

イワオウギ Hedysarum vicioides Turcz. subsp. japonicum (B.Fedtsch.) B.H.Choi et H.Ohashi var. japonicum (B.Fedtsch.) B.H.Choi et H.Ohashi
カラフトゲンゲ Hedysarum hedysaroides (L.) Schinz et Thell. - 絶滅危惧IA類に指定されている希少種です。

海外の種

アルパイン・スウィートベッチ（エスキモーポテト、ワイルドポテト） Hedysarum alpinum (L.)

利用

イワオウギ属の植物は、様々な形で利用されています。チョウ目の幼虫にとっては食草となる種類が存在します。また、アルパイン・スウィートベッチ（エスキモーポテト、ワイルドポテト）など、一部の種の球根は、先住民であるイヌイットや、ネズミ、ハイイログマなどの動物によって食用とされます。これらの球根にはビタミンCが豊富に含まれており、壊血病の予防に役立ちます。ただし、種子には神経毒であるオキサリルジアミノプロピオン酸が含まれており、神経障害ラティリスムを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類』（1982年）平凡社
豊国秀夫編『山渓カラー名鑑 日本の高山植物』(1988年)山と渓谷社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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