インディアナポリス (重巡洋艦)

[インディアナポリス] 重巡洋艦：栄光と悲劇の艦歴

インディアナポリスは、アメリカ海軍が誇るポートランド級重巡洋艦でした。その艦名は、インディアナ州インディアナポリス市に由来します。本艦は1930年代から太平洋を航海し、数々の任務を遂行しました。大統領の護衛、艦隊旗艦としての活動、そして太平洋戦争における重要な役割を果たすなど、その活躍はアメリカ海軍の歴史に大きな足跡を残しました。しかし、その輝かしい艦歴は、悲劇的な結末を迎えることになります。

艦歴：太平洋を駆け抜けた重巡洋艦

インディアナポリスは1930年3月31日に起工され、1932年11月15日に竣工しました。就役後は大西洋、太平洋で訓練を重ね、1933年にはフランクリン・ルーズベルト大統領を乗せて航海するなど、重要な役割を担いました。

太平洋戦争開戦時はジョンストン島にいました。真珠湾攻撃後、直ちに日本の空母捜索に加わり、その後、ニューギニア沖海戦などにも参加、数々の戦闘で活躍を見せます。1942年には、アリューシャン列島におけるアッツ島、キスカ島攻略作戦にも参加し、艦砲射撃で日本軍に大きな損害を与えました。また、ギルバート諸島、マーシャル諸島攻略作戦では、レイモンド・スプルーアンス提督の旗艦として、重要な役割を果たしました。

1944年には、サイパン、テニアン、グアムの攻略作戦にも参加。激しい戦闘を戦い抜き、マリアナ沖海戦では日本の機動部隊を撃退するなど、数々の戦果を挙げました。沖縄戦にも参加し、特攻機の攻撃を受け損傷するも、その後も重要な任務に従事しました。

極秘任務と悲劇の沈没

終戦間近の1945年7月、インディアナポリスは極秘任務を帯びます。それは、広島と長崎に投下される原子爆弾の部品と核物質をテニアン島に輸送する任務でした。任務を終えレイテ島へ向かう途中、7月30日、日本海軍潜水艦伊58の雷撃を受け、わずか12分間で沈没しました。乗員1199名のうち、約300名が即死、残りの乗員は救命ボートもなく、食料、水の乏しい海上を漂流することになりました。サメの襲撃もあり、救助が完了するまでに多くの犠牲者が出ました。最終的に救助されたのは316名のみでした。

艦長マクベイと名誉回復

艦長のチャールズ・マクベイ大佐は生き残りましたが、ジグザグ航行を怠ったとして軍法会議にかけられ有罪判決を受けました。しかし、この判決はその後、多くの議論を呼びました。マクベイは、多くの責任を負わされた上に、海軍におけるキャリアを失い、1968年に自殺してしまいました。50年以上後の2000年、マクベイの名誉回復が実現。アメリカ合衆国議会は、マクベイが無罪であるとする決議を可決し、クリントン大統領が署名しました。

沈没船の発見

インディアナポリスの沈没位置は長年不明でした。2001年と2005年の調査では発見に至りませんでしたが、2017年8月、マイクロソフトの共同創業者ポール・アレン率いる民間チームが、フィリピン海5500mの深海で沈没船を発見しました。

インディアナポリスは、太平洋戦争におけるアメリカ海軍の重要な艦艇として、数々の戦いを経験しました。その輝かしい功績と、悲劇的な沈没は、後世に語り継がれるべき歴史となっています。この事件は、戦争の残酷さと、個人の悲劇が、いかに大きな歴史の出来事と関わり合っているかを示す象徴的な出来事です。

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