インドネシアの首相

インドネシアの首相（Perdana Menteri Republik Indonesia）は、1945年から1966年の間、インドネシア政府に置かれていた役職です。首相は内閣の首班として、大統領、インドネシア中央国家委員会とともに行政権を分担しました。

概要

1945年制定のインドネシア共和国憲法は大統領制を明記していましたが、首相に関する規定はありませんでした。しかし、同年11月にはシャフリルが初代首相に就任しています。首相の地位が正式に明記されたのは、1950年制定のインドネシア共和国暫定憲法第52条においてです。

首相は大統領によって任命され、内閣の主席として通常の行政事務を処理すると同時に、大統領と副大統領に対して責任を負いました。実際には中央国家委員会に対して責任を負い、政策決定の際には事前に大統領に相談する必要がありました。首相が大統領または中央国家委員会と対立した場合には罷免され、別の人物が首相に任命されることになっていました。

首相は連立内閣を率いることが多く、そのため政権は常に不安定な状態であり、内閣不信任決議が頻発しました。主要な法案が提出されるたびに野党から反発を受け、議会が停滞し、首相は数か月で退陣に追い込まれることもありました。

1959年7月5日、スカルノは与党が制憲議会で3分の2を維持できないことから、大統領令を布告して独立当初の1945年憲法を復活させました。これにより、憲法から首相の条文が消滅することになりましたが、スカルノは同月9日に憲法の規定から消滅した首相を兼務することを発表し、以降の演説では自身を「大統領兼首相」と名乗りました。

1965年に発生した9月30日事件によってスカルノの権威は失墜し、翌1966年の「3月11日命令書」によりスハルトが全権を掌握したことで事実上失脚しました。同年7月25日にスカルノは首相を辞任し、これ以後、憲法に規定がないため首相は任命されず廃止されました。

歴代首相については、別途一覧が参照可能です。

参考文献

Abdullah, Taufik (2009). Indonesia: Towards Democracy. Singapore: Institute of South-East Asian Studies. ISBN 981-230-365-0.
Ricklefs, M. C. (2001). A History of Modern Indonesia since c. 1200 (3rd ed.). Hampshire, England: Palgrave. ISBN 0-333-24380-3.

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