インド古典詩の韻律

インド古典詩の韻律の概要

インド古典詩は、詩節で構成されており、各詩節は通常4つの句（パーダ）で成り立っています。これらの詩における韻律は大きく二種類に分類されます。一つは音節数及び音節の長短に基づく韻律で、もう一つはモーラ数に基づく韻律です。

音節数による韻律

音節数に基づく韻律は「ヴリッタ」と呼ばれ、ヴェーダから発展したもので、より厳密な規則があります。音節は短い（ラグフ、laghu）と長い（グル、guru）に分けられ、短音節は1モーラ、長音節は2モーラとして数えられます。音節の長短は、音の性質や音節末の状況によって決定されます。音節構造によって定義される「ガナ」は、3音節の集まりを指し、特定の音をもとに記憶しやすく工夫されています。

ガナとシュローカ

音節数による韻律には8種類の「ガナ」が存在し、記憶には特定の符丁が使われます。「シュローカ」という韻律は、通常8音節4句からなり、非常に多く用いられています。シュローカの前半及び最後の音節は長短が定まらず、音節の組み合わせには規則があります。シュローカは、インドの叙事詩『ラーマーヤナ』や『マハーバーラタ』等で広く使われています。

モーラ数による韻律

モーラ数に基づく韻律は「ジャーティ」と呼ばれ、仏教やジャイナ教の経典でも利用されてきました。モーラによる韻律では、ガナは西洋の韻文で考慮される韻脚に似た機能を持ちます。「アーリヤー」という韻律は、2つの句から成り、異なるモーラ構成が設定されています。また、モーラ数に基づく韻律は、アパブランシャや現代インドの詩においても使用されており、特にヒンディー語の「チョーパーイー」などで顕著です。

韻律の多様性

インド古典詩の韻律は、形式のバリエーションに富んでおり、音節数やモーラ数によるいくつもの異なるスタイルが存在します。奇数句と偶数句で異なる韻律を持つものや、全ての句の長さが異なる場合まで、多様な表現が可能です。このように、音楽的な要素を取り入れた多彩な韻律が古典詩に息づいています。特に、シュローカを中心とした韻律が広く使用されているため、学術的にも注目されています。

このように、インド古典詩の韻律は文学的な価値だけでなく、文化や歴史を反映した重要な要素です。韻律の研究は、古典文学の理解を深め、言語の美しさを探求する上でも欠かせないものとなっています。

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