イヴェコ LMV

イヴェコ LMV (Light Multirole Vehicle)

イヴェコ LMVは、イタリアの商用車メーカーであるイヴェコが設計した軽装輪装甲車両です。この車両は、特にイタリア軍の装甲車トライアルに応じて開発されたものであり、実用性と耐久性が高く評価されています。

概要

LMVは、NATOの装甲規格であるSTANAG 4569に準拠しており、レベル1からレベル4までの防御性能を持っています。車体は専用設計で、V字型の構造をしているため、即席爆発装置による攻撃にも耐えることができるようになっています。

エンジンには過給機が搭載されており、熱探知装置の探知を抑えるために、エンジンの下部に配置されています。また、排気はAピラー内の特設ダクトを介して排出され、運転者と乗員の安全性が考慮されています。加えて、パンク時でも走行が可能なランフラットタイヤを装備しており、悪路でも安定した移動が可能です。

LMVはその名の通り、戦闘車両としての役割だけでなく、軍用救急車や通信車など、多様な用途に応じた使用が可能です。さらに、そのコンパクトな設計により、CH-47 チヌークやEH101などの大型軍用輸送ヘリコプターにも搭載ができるため、迅速な展開が実現します。

採用国と改良モデル

イタリア軍をはじめ、他の9ヶ国にも採用されています。特にイギリスでは、FV432やAT105 サクソン、ランドローバーなどを置き換えることを目的に改良され、パンサー CLVとして導入されています。このモデルはBAEシステムズによって開発されており、元のLMVよりも強化された装甲を採用しています。このように、安全性がさらに向上しているため、イギリス陸軍の第1機械化歩兵旅団に配備され、アフガニスタンでの任務に使用されています。

採用国一覧

• - アルバニア
• - イタリア

イタリア陸軍・イタリア海軍（2013年には約2,000両を配備、さらに4,000両の調達計画）

• - イギリス

イギリス陸軍（パンサー CLVとして401両を配備）

• - ベルギー

ベルギー陸上部隊（440両）

• - ボスニア・ヘルツェゴビナ

ボスニア・ヘルツェゴビナ軍

• - ノルウェー

ノルウェー軍（170両）

• - クロアチア

クロアチア軍（94両を調達予定）

• - スペイン

スペイン陸軍（2013年には270両）

• - スロバキア

スロバキア軍

• - チェコ

チェコ軍（120両）

• - オーストリア

オーストリア軍（150両）

• - ロシア

ロシア陸軍（727両を調達予定、2012年には57両）

• - ウクライナ

ウクライナ陸軍（2022年のロシア侵攻により、イタリア、ポルトガル、ノルウェーからの供与を受けました）

以上がイヴェコLMVの基本情報と背景です。この車両は、機動力と多用途性を兼ね備えた重要な軍用資産といえるでしょう。

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