イヴ・ボヌフォワ

イヴ・ボヌフォワ（Yves Bonnefoy, 1923年6月24日 - 2016年7月1日）は、フランスの詩壇、文芸批評において重要な足跡を残した人物です。詩人としてだけでなく、文芸評論家、翻訳家としても幅広く活動し、その知性と深い洞察力で多くの読者を魅了しました。

生涯と学問

ボヌフォワは、フランスのアンドル＝エ＝ロワール県トゥールで生まれました。ポワティエ大学とパリ大学で学び、文学の道を志しました。その後、教育者としても才能を発揮し、マサチューセッツ州のブランダイス大学、メリーランド州のジョンズ・ホプキンス大学、ニュージャージー州のプリンストン大学、コネチカット州のイェール大学といった名門大学で教鞭を執りました。また、スイスのジュネーヴ大学、フランスのニース大学、ニューヨーク市立大学、そしてコレージュ・ド・[[フランス]]でも教壇に立ち、国際的な教育者としての地位を確立しました。

多岐にわたる業績

ボヌフォワの業績は、詩作、文芸評論、翻訳と多岐にわたります。彼の詩は、存在の意味、時間、記憶といった普遍的なテーマを扱い、独自の言葉で表現されています。文芸評論においては、ランボー、マラルメ、ジャコメッティなど、芸術家や文学者の作品を深く読み解き、新たな解釈を提示しました。翻訳家としては、シェイクスピアなどの古典作品をフランス語に翻訳し、フランスの読者に紹介しました。

受賞歴

ボヌフォワの文学への貢献は、数々の賞によって称えられています。1984年には芸術文化勲章コマンドゥールを受章、1987年にはゴンクール詩人賞、1995年にはバルザン賞（ヨーロッパの美術史、美術批評に対して）、チーノ・デル・ドゥーカ世界賞を受賞しました。1999年にはストルガ詩の夕べ金冠賞、2000年には正岡子規国際俳句賞大賞、2007年にはフランツ・カフカ賞、2011年にはグリフィン詩賞生涯功労部門を受賞しています。

日本語訳された作品

日本でも多くの作品が翻訳されており、彼の思想と詩に触れることができます。

ランボー（阿部良雄訳、人文書院）
現前とイマージュ（阿部良雄、兼子正勝共訳、朝日出版社）
イヴ・ボヌフォワ詩集（清水茂訳、小沢書店）
ジャコメッティ作品集（清水茂訳、リブロポート）
バロックの幻惑 ― 1630年のローマ（島崎ひとみ訳、国書刊行会）
イヴ・ボヌフォワ最新詩集（清水茂訳、書肆青樹社）
世界神話大事典（共訳、大修館書店）
ありそうもないこと ― 存在の詩学（共訳、現代思潮新社）
* マラルメの詩学（菅野昭正、阿部良雄共訳、筑摩書房）

これらの翻訳を通じて、ボヌフォワの深遠な思想と美しい詩の世界を堪能することができます。

イヴ・ボヌフォワは、20世紀後半から21世紀初頭にかけて、フランス文学界において重要な存在であり続けました。彼の作品は、これからも多くの読者に読み継がれ、新たな解釈と感動を与え続けるでしょう。

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