イーグル (空母・初代)

イーグル (HMS Eagle)

イーグルは、イギリス海軍の航空母艦であり、航空母艦の艦橋として最初のケースとなる島型艦橋（アイランド）を搭載しました。この艦は、元々はチリ海軍向けに建造されていた戦艦アミランテ・コクレンが、第一次世界大戦時にイギリス海軍に買収され空母に改造されたものです。艦名の「イーグル」は、英語でワシを意味し、その優雅で強い姿に由来しています。

設計と特徴

イーグルは、空母としての初期の設計であり、戦艦からの転用を受けています。元の設計が古いため、航空機の運用に最適化されていない部分もありますが、これは当時の技術水準を反映しています。この艦は、空母が軽巡洋艦の任務にも適応できるように設計されており、各国の海軍が共通で持っていた設計思想の表れでもあります。

艦の特筆すべき点は、水上機の運用を可能にするための大型クレーンと、対艦攻撃用に搭載された中口径砲と魚雷発射管です。また、初期の空母は飛行甲板に障害物が無いフラッシュデッキ型と、艦橋と煙突が艦側に集中したアイランド型に大きく分かれますが、イーグルはアイランド型の一例として知られています。このデザインは、後のハーミーズを含む多くの艦船に影響を与えました。

艦形

イーグルは、チリ海軍の発注に基づいて建造された戦艦が改造されたという経緯があり、艦体はアイアン・デューク級と併せて短船首楼型の形状を持ちます。全長は201メートルであり、これは当時の英海軍の艦船の中でも長い部類に入ります。艦首部分は特徴的に前方にせり出した形状となっており、最上甲板には支柱が設置され、飛行甲板が配置されています。これにより、凌波性が向上しています。

飛行甲板の構造は独特で、艦橋は中央部に設置され、三脚型の前部マストが立っています。さらに、艦橋の上には射撃方位盤室や測距儀が配置され、戦闘時の視認性を向上させています。飛行甲板の裏側には格納庫が設けられていますが、その面積は飛行甲板に比べて狭く、搭載機数の制約がありました。

航空艦装

イーグルの飛行甲板は、全長198.7メートル、幅29メートルであり、前後に二基のエレベータが配置され、前部は飛行機に合わせた十字架型の形状を持っていました。これにより、他空母とは異なる特異なデザインが認められます。また、着艦装置も改造に伴い、使用実績に基づいて変更されました。最初は鋼索縦張り式だったが、後に横張り方式に改修されています。

武装と防御

イーグルの主武装は15.2cm（45口径）単装砲で、船体各所に配置されており、艦尾方向を含めて相手を攻撃できるようになっています。副武装としては、10.2cm高角砲や4.7cmの機関砲、魚雷発射管なども備えています。

防御力に関しても、イーグルは戦艦から改造されたため、同時代の他空母に比べて強固な装甲を持っていました。舷側と飛行甲板にはそれぞれ装甲が施されており、主甲板も防御強化されています。ただし、主武装自体の防御は簡素なものであり、波除けのカバーにわずかな装甲が設けられています。

艦歴と運用

イーグルは1913年に起工され、その後一度建造中止となりましたが、イギリス海軍が購入し空母として改造されました。1920年に就役し、1923年に竣工しました。以降は最新鋭の航空母艦として運用され、1930年代は中国艦隊に編入され、外交任務にも従事します。

第二次世界大戦に突入すると、イーグルはインド洋や地中海で活動を開始し、数多くの戦闘任務に参加しました。特に、地中海での輸送任務や航空支援作戦に従事し、スピットファイアをマルタへ輸送するなどの重要な役割を果たしました。

1942年、イーグルはドイツ潜水艦の攻撃を受け、阻止できることなく沈没しました。これにより、航空母艦としての歴史を閉じることになりましたが、彼女の設計と運用は後世の空母設計に大きな影響を与えることとなります。耐久性や航空機運用能力において、彼女の遺産は未だ多くの海軍に受け継がれています。

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