イースタン航空304便墜落事故

イースタン航空304便墜落事故

1964年2月25日、イースタン航空304便（ダグラス DC-8-21、機体記号N8607）が、ルイ・アームストロング・ニューオーリンズ国際空港からハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港へ向かう途中に、ポンチャートレイン湖に墜落しました。この事故により、乗員7名、乗客51名の計58名全員が犠牲となりました。

事故機について

事故機であるダグラス DC-8-21（製造番号45428）は、1960年2月に製造され、同年5月22日にイースタン航空に納入されました。エンジンにはプラット・アンド・ホイットニー JT4A-9が搭載され、事故発生までの総飛行時間は11,340時間でした。

事故の経緯

304便は、メキシコ・シティ国際空港を出発し、ルイ・アームストロング・ニューオーリンズ国際空港、ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港、ワシントン・ダレス国際空港を経由してジョン・F・ケネディ国際空港へ向かう予定でした。

事故当日、304便は0時51分にニューオーリンズに到着しました。この際、パイロットは着陸の30分前に軽度から中程度の乱気流に遭遇したものの、それ以外は通常通りの飛行であったと乗客は証言しています。ニューオーリンズでは、数人の乗客が乗り降りし、客室乗務員も交代しました。出発時、304便には乗員7名と乗客51名が搭乗していました。

1時59分、304便は管制官の許可を得て離陸しました。離陸から2分後の2時01分、管制官が304便に管制との交信を指示し、確認が取れました。管制官は、空港の北2、3マイルを暗闇の中で飛行する304便を目撃し、その後雲の中に消えていったと証言しています。

304便は、2時02分にニューオーリンズを離陸した別の旅客機にも目撃されており、高度1,200フィート（約370メートル）を通過した後、雲の中へ消えていったとされています。ほぼ同時刻に、304便は管制官から方位30度に右旋回し、フライトで使用予定だったJ37の空中回廊に入るよう指示を受けました。その後、管制官がニューオーリンズエリアの航空管制センターに連絡を取ったところ、304便のマークがニューオーリンズのビーコンの北5マイルの地点に表示されていると回答があり、2時02分に304便のレーダー管制はニューオーリンズのエリアセンターへ移行されました。

304便は、周波数123.6でニューオーリンズと交信するよう指示を受け、2時03分に「OK」と返答しました。これが304便との最後の交信となりました。この時、304便はルイ・アームストロング・ニューオーリンズ国際空港から8マイル、方位30度の地点を飛行していました。当時、この地域では大雨を伴う雷雨、北から北東向きの突風、中程度から強い乱気流が観測されていたと、気象観測所や他の航空機の乗務員が証言しています。

最後の交信から数分経過しても304便からの応答がなかったため、管制は指示が正常に伝わったかを確認するためにディスパッチャーに電話しました。その中で、304便がレーダースクリーンから消失したことに気づき、緊急事態を発令し、捜索が開始されました。同じ頃、ポンチャートレイン湖付近の住民から激しい轟音と水面上の火災を目撃したとの通報がありました。304便は、空港のビーコンから14.5マイル、方位34度の地点で湖面に墜落・爆発し、乗員乗客58名全員が死亡しました。犠牲者の中には、アメリカの歌手であったケネス・スペンサーも含まれていました。

事故調査

事故調査の結果、304便は「縦トリムの位置が異常であり、乱気流中での機体の安定性が低下したため墜落した」と結論付けられました。ポンチャートレイン湖の水深はわずか20フィート（約6メートル）でしたが、機体の損傷が激しく、残骸は全体の60%しか回収できませんでした。また、フライトデータレコーダーのテープが損傷していたため、事故調査に使用できませんでした。代わりに、事故調査官は事故機と他のDC-8の整備記録から、304便のパイロットが水平安定板を機首下げの位置まで操作し、過剰な機首上げを止めようとしていたと結論付けました。機首上げ状態になると、パイロットが操縦桿を引き戻す際に発生する激しい重力加速度によって、水平安定板を機首上げの位置に戻すことが不可能になっていたとされています。

脚注

犠牲者の中には、アメリカの歌手、ケネス・スペンサーが含まれていました。

関連項目

トランスカナダ航空831便墜落事故

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