ワシントン・ダレス国際空港

ワシントン・ダレス国際空港

ワシントン・ダレス国際空港（Washington Dulles International Airport）は、アメリカ合衆国バージニア州に位置する国際空港であり、首都ワシントンD.C.の国際線の主要な玄関口としての役割を担っています。ホワイトハウスから約42km西に位置し、その名称は、ドワイト・D・アイゼンハワー政権下で国務長官を務めたジョン・フォスター・ダレスに由来します。

歴史

第二次世界大戦後、民間航空の需要が急増し、既存のワシントン・ナショナル空港だけでは対応が困難となったため、新たな空港の建設が計画されました。1950年にワシントン空港法が制定され、連邦政府による首都圏第二空港の建設が正式に認可されました。1958年にはドワイト・D・アイゼンハワー大統領によって現在の場所が選定され、1962年11月17日、ジョン・F・ケネディ大統領によって開港が宣言されました。

開港当初の正式名称は「ダレス国際空港」でしたが、1984年に「ワシントン・ダレス国際空港」に改称されました。2024年4月には、共和党の下院議員7名が「ドナルド・J・トランプ国際空港」への改名を提案する法案を提出しましたが、実現の見込みは低いとされています。

日本からの直行便は、全日本空輸（ANA）が1986年7月26日に成田国際空港からの就航を開始したのが最初です。この路線は、ANAにとって初の超長距離国際線であり、日米両国の首都を結ぶ初の路線としても注目されました。当初は栄光の1・2便として運航されていましたが、2020年3月29日からは東京側の発着空港が羽田に変更され、便名も101便・102便に変更されました。

2012年6月1日には、ルフトハンザドイツ航空が世界で初めてボーイング747-8iをフランクフルト発で就航させました。

ターミナル

空港は、メインターミナルと2棟のサテライトターミナル（コンコースA/B、コンコースC/D）で構成されています。これらの3棟は平行に配置されており、全体で139の搭乗口を備えています。

メインターミナル

1962年の開港に合わせて完成したメインターミナルは、吊り下げ構造の屋根が生み出す優雅な曲線美と、柱のない広大な空間が特徴です。設計は建築家エーロ・サーリネンが担当しました。サーリネンは、ターミナルと航空機間の旅客輸送に「モバイル・ラウンジ」という独自のシステムを提案しました。クライスラーとバッドが共同で開発したこれらの車両は、前後に運転席があり、車高を下げて走行することが可能です。一部は搭乗口にしか接続できないタイプもあります。現在、約50台が運用されていますが、輸送能力が限られているため、一部のターミナルでのみ使用されています。

サテライトターミナル

2棟のサテライトターミナルは、それぞれコンコースA/BとコンコースC/Dと呼ばれています。コンコースC/Dは1983年に完成した、より古いターミナルです。2004年に地下道、2010年にはエアロトレインが開通し、メインターミナルとの接続が改善されました。ただし、コンコースDにはエアロトレインの駅がないため、現在もモバイル・ラウンジが使用されています（2021年時点）。

利用実績

2019年の旅客数は2481万人で、アメリカ国内の空港としては25番目に位置します。このうち、ユナイテッド航空の利用者が約6割を占めています。

主な航空会社

ワシントン・ダレス国際空港には、以下の主要な航空会社が就航しています。

ユナイテッド航空
ユナイテッド・エクスプレス
デルタ航空
デルタ・コネクション
アメリカン航空
アメリカン・イーグル
サウスウエスト航空
アラスカ航空
フロンティア航空
アレジアント航空
エア・カナダexpress
ポーター航空
ヴァージン・アトランティック航空
ブリティッシュ・エアウェイズ
KLMオランダ航空
エールフランス
ルフトハンザドイツ航空
ブリュッセル航空
エアリンガス
アイスランド航空
イベリア航空
TAPポルトガル航空
スカンジナビア航空
オーストリア航空
ターキッシュ・エアラインズ
アエロフロート
アビアンカ航空
コパ航空
アビアンカ・エルサルバドル
エジプト航空
エチオピア航空
ロイヤル・エア・モロッコ
サウジアラビア航空
エミレーツ航空
エティハド航空
カタール航空
エア・インディア
中国国際航空
大韓航空
全日本空輸

アクセス

地下鉄

2022年11月にワシントンメトロシルバーラインが延伸し、空港直結のWashington Dulles International Airport駅が開業しました。これにより、バスによる接続は廃止され、ワシントンDCの中心部まで乗り換えなしでアクセスできるようになりました。駅は旅客ターミナルから駐車場を隔てた場所に位置しており、動く歩道のある連絡通路で接続されています。運行時間は朝6時頃（土日は8時頃）から深夜1時過ぎまで、15分間隔で運行しています。ワシントン中心部までの所要時間は約60分で、運賃は時間帯によって異なり、平日朝夕は$6.00、平日それ以外の時間は$3.85、平日深夜と土日は$2.00となっています。

路線バス

メトロバスの5Aルートが、空港とワシントンD.C.市内を結んでいます。終点のワシントンメトロ・ランファン・プラザ駅までの間に、ワシントンメトロ・ロスリン駅などに停車します。運行間隔は30〜40分で、運賃は$7です。

自動車道

ワシントンD.C.市街地方面には、バージニア州道267号線（ダラス・アクセス・ロードおよびダラス・グリーンウェイ）が通っており、州間高速道路66号線に接続しています。南北方向には、バージニア州道28号線が延びています。

脚注

関連項目

ユナイテッド航空
ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港
ボルチモア・ワシントン[[国際空港]]
ダイ・ハード2 - 映画内のテロ事件の舞台として設定されている。

外部リンク

Dulles Airport（英語版）
OpenNav: IAD / KIAD 飛行場図

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