ウィザード (ソフトウェア)とは？意味をやさしく解説

ウィザードとは

ウィザードとは、コンピュータプログラムにおける対話的なユーザーインターフェースの一種です。複雑な作業を、段階を追ってユーザーに実行させることで、操作を容易にする目的で使用されます。

一般的に、ユーザーは事前に定められた順序で作業を進めることを強いられますが、これは複雑で頻繁に行わない作業の場合、かえってユーザーにとって分かりやすく、スムーズに作業を進めることができるという利点があります。一部のオープンソースソフトウェアでは、ウィザードは「ドルイド (Druid)」と呼ばれることもあります。

ウィザードの歴史と普及

ウィザードの初期の例としては、1991年にMicrosoft Publisherに搭載されたものが挙げられます。その後、Windowsの「インターネット接続ウィザード」のように、コンピューターのネットワーク設定をユーザーに質問しながら進めていくタイプのウィザードが広く普及しました。2001年頃には、エンドユーザーが利用するOSにおいて、ウィザードは一般的な機能として認識されるようになりました。

macOSでは、ウィザードは「アシスタント」という名称で提供されており、例えば「セットアップアシスタント」はMacintoshの初回起動時に作動し、ユーザーは手順に従って設定を進めることができます。また、「ネットワークセットアップアシスタント」は、Windowsの「インターネット接続ウィザード」と同様に、ネットワーク設定をサポートします。

ウィザードの多様な応用

ウィザードは、航空券予約サイトのような複雑なウェブアプリケーションにも利用されています。対話的なステップを通じて、ユーザーはスムーズに予約手続きを完了できます。また、Oracle Designerのようなソフトウェア開発ツールでも、ウィザードは多用されており、ソフトウェア開発の効率化に貢献しています。

エキスパートシステムとの比較

ウィザードとは対照的に、エキスパートシステムは人工知能や複雑なアルゴリズムを活用して問題を解決します。エキスパートシステムは、通常は「はい/いいえ」形式でユーザーに質問を投げかけながら、問題を解決に導きます。エキスパートシステムは、ウィザードを含む問題解決プログラムを代表するカテゴリとして捉えられることもあります。

ユーザーインターフェース設計の観点

ユーザーインターフェース設計の観点から見ると、ウィザードはモーダル指向が強いという特徴があります。一般的には、ユーザーに特定の状態を強いるモーダルなインターフェースよりも、モードレスなインターフェースの方が優れていると考えられています（詳細については「モード (ユーザーインターフェース)」の記事を参照）。しかし、ウィザードを支持する意見として、「ウィザードは使いやすい」という点が挙げられ、使いやすさを優先すべきという考え方があります。

ウィザードのメリットとデメリット

ウィザードの主なメリットは、複雑な作業を段階的に分解し、ユーザーを迷わせることなく、スムーズにタスクを完了できる点です。しかし、モーダルなインターフェースであるため、ユーザーは特定の流れに沿って操作する必要があり、自由度に欠けるというデメリットも存在します。

まとめ

ウィザードは、複雑な操作をユーザーが簡単に実行できるように設計された対話型プログラムです。ソフトウェアの設定からウェブアプリケーションまで幅広い場面で活用されており、ユーザーインターフェースの重要な要素の一つとなっています。

ウィザード (ソフトウェア)