ウィリアムズ・FW38

ウィリアムズ・FW38について

ウィリアムズ・FW38は、ウィリアムズチームが2016年シーズンに向けて開発したフォーミュラ1カーです。この車両は2016年2月19日に発表され、前年のFW37の進化形であると位置づけられています。外観上の違いは、サイドポーンツーンの空気取り入れ口の形状がわずかに変わった程度ですが、チーフ・テクニカルオフィサーのパット・シモンズはFW36およびFW37での低速域のパフォーマンスに改善をもたらす努力をしたことを述べています。

2016年シーズンの振り返り

FW38はそのスピードで注目を集めました。特に、バクーで行われたヨーロッパGPでは、バルテリ・ボッタスがF1史上最高速度の378km/hを叩き出しました。また、メキシコGPでは372.5km/hを記録し、過去の記録に次ぐ2位となる瞬間もありました。このスピードの記録は、FW38が高速コースにおいて高いポテンシャルを持っていることを示しています。しかし、2014年以降のトレンドとして、多くのチームが注意を要する低速域では依然として競争力に欠けていました。

FW38の低速でのダウンフォース不足とホイールスピンの発生は、タイヤの消耗を加速させてしまう要因となっていました。それにも関わらず、シーズン全体を通してチームは苦戦を強いられました。結果として、同じメルセデス製パワーユニットを搭載するフォース・インディアに及ばず、コンストラクターズランキングは5位に低下。表彰台を掴んだのは、カナダGPにおいてボッタスが3位に入った一度だけでした。

また、シーズン中盤からはタイヤ交換の回数を他チームよりも少なくする戦略を取るものの、チーム間のパフォーマンス差は拡大する一方でした。また、イタリアGPを前にフェリペ・マッサが引退を発表しましたが、翌年初めにその決定を撤回しました。シーズンの終わりをもってチームを去ったシモンズは、FW38以降の車両における根本的な欠点が空力にあったと指摘しています。

FW38のスペック

シャーシ

• - モデル名: FW38
• - 構造: カーボンファイバー/ハニカムコンポジット
• - ブレーキ: APレーシング製キャリパー、ベンチレーテッドカーボンファイバーブレーキ
• - サスペンション: 前後独立懸架、前輪プッシュロッド式、後輪プルロッド式
• - ギアボックス: ウィリアムズ製8速セミオートマチック
• - ホイール: APP-TECH製鍛造マグネシウムホイール
• - 重量: 702kg
• - タイヤ: ピレリ P-Zero
• - 寸法: 全長5000mm, 全高950mm, 全幅1800mm

エンジン

• - モデル名: メルセデス PU106C Hybrid
• - 気筒数: V型6気筒（90度）
• - 排気量: 1600cc
• - 最高回転数: 15000rpm
• - シリンダーブロック: アルミニウム製
• - ターボ: シングル
• - バルブ数: 24（圧搾空気式駆動）

ERSシステム

• - メーカー: メルセデスAMG F1 HPP
• - バッテリー出力: 4MJ（1周あたり）
• - MGU-K出力: 120kW
• - MGU-K最高回転数: 50000rpm
• - MGU-H最高回転数: 125000rpm

記録

太字はポールポジション、斜字はファステストラップを示します。記録の一部にはリタイアが含まれていますが、90%以上の距離を走行したため完走扱いとなることがあります。

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