ウィリン・ロサリオ

ウィリン・ロサリオ：波瀾万丈なキャリアを歩んだドミニカの強打者

ウィリン・アリスメンディ・ロサリオ・エルナンデス（Wilin Arismendy Rosario Hernández）は、1989年2月23日、ドミニカ共和国のモンセニョール・ノウエル州ボナオで生まれました。右投右打の捕手、一塁手として、その野球人生は波瀾万丈でした。

愛称は「ベイビー・ブル（Baby Bull）」や、スペイン語で「闘牛」を意味する「トロ（Toro）」と呼ばれ、その強打とアグレッシブなプレースタイルは、多くの野球ファンを魅了しました。

メジャーリーグへの挑戦とロッキーズ時代

2006年、アマチュアFAとしてコロラド・ロッキーズと契約し、プロのキャリアをスタートさせました。2011年9月6日には、念願のメジャーデビューを果たし、その年の16試合で3本塁打を放ち、その才能の片鱗を見せつけました。

翌2012年には、28本塁打を記録し、球団新人記録を更新するなど、飛躍の年となりました。また、この年には、メジャーリーグでの現役最終登板となったジェイミー・モイヤーとバッテリーを組んだことも、彼のキャリアにおける特筆すべき出来事の一つです。2013年には、正捕手として121試合に出場し、打率.292、21本塁打、79打点という好成績を収めました。

しかし、2014年以降は、守備面での課題が露呈し始めました。3年連続でリーグワーストとなるパスボール数を記録するなど、捕手としての安定感に欠けました。2015年には、打撃不振も重なり、一塁手や代打としての出場が増え、オフにノンテンダーFAとなりました。

韓国での復活と日本への挑戦

2016年、ロサリオはKBOのハンファ・イーグルスと契約し、新たな活躍の場を求めました。ここでは、打線の主軸としてその実力を発揮し、2016年には打率.321、33本塁打、120打点、2017年には打率.339、37本塁打、111打点と、2年連続で3割30本100打点をクリアする大活躍を見せました。しかし、球団の保留選手名簿に記載されたものの、退団を表明しました。

2018年、ロサリオは阪神タイガースに入団し、日本プロ野球でのキャリアをスタートさせました。阪神では4番打者として期待されましたが、外の変化球への対応に苦しみ、思うような結果を残すことができませんでした。シーズン中に二軍落ちを経験するなど、苦しいシーズンとなりました。最終的に、打率.242、8本塁打、40打点という成績でシーズンを終え、オフに自由契約となりました。

その後：メキシコ、台湾、そして再びメキシコへ

阪神退団後、ロサリオはMLBのミネソタ・ツインズとマイナー契約を結び、傘下AAA級で好成績を残しましたが、メジャー昇格は叶いませんでした。その後、メキシカンリーグ、台湾プロ野球リーグでもプレーしましたが、目立った活躍を見せることはできませんでした。再びメキシカンリーグに戻り、2022年までプレーしました。

選手としての特徴

ロサリオは、長打力を最大の武器とする選手です。特にKBO時代には、その強打が遺憾なく発揮されました。一方、四球が少なく、早打ち傾向があるという課題も指摘されています。また、外角の変化球、特に右投手のスライダーに対しては、苦戦する傾向がありました。守備面では、捕手としての能力に課題を残し、一塁手としての出場が主となりました。

人物

ロサリオは、努力家であり、野球に対して真摯な姿勢を持つ選手として知られています。元ニューヨーク・ヤンキースのホルヘ・ポサダを敬愛しており、背番号20はポサダに因んだものです。阪神時代には、チームメイトのラファエル・ドリスと、ドミニカのアカデミー時代からの旧知の間柄でした。

また、阪神入団時には、ウィンターリーグへの参加を球団が特例として認め、その野球に対する情熱がうかがえます。平成30年7月豪雨の際には、被災者支援のために100万円の義援金を寄付するなど、人間性においても高く評価されています。

まとめ

ウィリン・ロサリオは、その波瀾万丈なキャリアを通じて、多くの野球ファンに感動と興奮を与えてくれました。メジャーリーグ、韓国プロ野球、日本プロ野球と様々な舞台で活躍し、常に全力でプレーする姿は、多くの人々の記憶に残るでしょう。

もう一度検索