ウィルコ (企業)

株式会社ウィルコ（英名：WILCO Co.,Ltd.）は、1991年（平成3年）11月1日に設立された映像制作会社です。東京都世田谷区に本社を置き、国内外の様々なメディアにおける映像作品の企画、製作、および制作プロダクション業務を中心に活動を展開していました。

同社は設立以来、日本国内だけでなく海外のプロジェクトにも積極的に参加し、映画、テレビドラマ、ウェブドラマ、DVD作品、劇場中継、ラジオドラマ、ミュージックビデオ、VP（ビデオパッケージ）、ドキュメンタリー、TVスポット、プロモーションビデオなど、非常に幅広いジャンルの映像コンテンツを手掛けてきました。

特に映画分野では、数多くの話題作や芸術性の高い作品に関与しています。製作や制作プロダクションとして参加した主な作品には、呉美保監督の『そこのみにて光輝く』（2014年）、市川準監督の『トニー滝谷』（2005年）、熊切和嘉監督の『海炭市叙景』（2010年）や『夏の終り』（2013年、制作協力）、三木聡監督の『亀は意外と速く泳ぐ』（2005年）や『イン・ザ・プール』（2005年）などがあります。これらの作品の中には、国内外の映画祭で高い評価を受け、数々の賞を受賞したものも少なくありません。

国際的なプロジェクトへの関与も特徴的で、クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』（2003年、制作協力）といったハリウッド大作の一端を担ったり、中国や香港との合作映画『東京に来たばかり』（2013年）、『ゴールデン・スパイ』（2013年）、『孔雀 KUJAKU』（1998年）にも制作や制作協力として携わっています。また、中国のテレビドラマ『新亮剣』、『杜拉拉昇職記』、『婚内外(INSIDE & OUTSIDE MARRIAGE)』にも制作協力として参加するなど、アジア地域との連携も深く行っていました。

テレビドラマの分野では、『おとりよせ王子 飯田好実』や『おじいさん先生「熱闘編」』などで制作プロダクションを担当。NHKや日本テレビ、TBSなど、主要な放送局の番組制作にも関わっており、『BUNGO -日本文学シネマ-』シリーズや『私立探偵 濱マイク』、北海道文化放送開局30周年特別番組『ノースポイント』シリーズなど、多岐にわたる作品を手掛けています。

その他にも、GyaOでのウェブドラマ『少女には向かない職業』、様々なアーティストのミュージックビデオ制作（浜田省吾、CHAGE&ASKA、松たか子など）、劇場舞台の映像中継、ラジオドラマなど、メディアの形態を問わず映像制作の専門性を活かした活動を展開していました。

同社が関わった作品は、国内外で高い評価を得ており、いくつかの代表的な受賞歴があります。例えば、『そこのみにて光輝く』はモントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞。『四十九日のレシピ』は金鶏百花映画祭で監督賞、『臍帯』は上海国際映画祭で審査員特別賞、そして『トニー滝谷』はロカルノ国際映画祭で審査員特別賞など複数の賞に輝いています。『海炭市叙景』も毎日映画コンクール撮影賞・音楽賞、キネマ旬報ベスト10入選、高崎映画祭特別賞など、多数の評価を得ています。

長年にわたり日本の映像業界において多様な作品に貢献してきた株式会社ウィルコでしたが、2023年（令和5年）5月10日、東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受け、経営が破綻し、その活動に終止符を打ちました。

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