ウィルヘルム山

パプアニューギニアの国土で最も標高が高い山、ウィルヘルム山は、海抜4,509メートルを誇ります。ビスマーク山脈の一部を形成し、シンブ州、西部山岳州、マダン州の三つの行政区画が接する地点にその頂があります。この山は、現地のクマン語で「エンドゥワ・コンブグル」とも呼ばれています。

ニューギニア島全体を見ると、インドネシア領パプア州に位置するプンチャック・ジャヤ（4,884メートル）など、ウィルヘルム山よりも標高の高い峰が存在します。しかし、プンチャック・ジャヤが地理的には東南アジア、すなわちアジアの一部と見なされることから、ウィルヘルム山をオセアニア大陸（またはオーストラリア大陸プレート）における最高峰として挙げる情報源も少なくありません。世界の七大陸最高峰のリストにおいても、ウィルヘルム山が含められる場合があります。

山名の由来は、1888年にドイツ人記者のフーゴー・ツェラーが、マダンの南東にあるフィニステール山脈を探検した際に遡ります。彼は発見した山脈を当時のドイツ宰相オットー・フォン・ビスマルクにちなんでビスマルク山脈と名付け、その中の四つの主要なピークには、ビスマルク自身と子供たちの名前を冠しました。その一つがウィルヘルム・ベルク、現在のウィルヘルム山です。ツェラーは当初、オットー・ベルクを最高峰と考えましたが、後の測量でウィルヘルム・ベルクがはるかに高いことが判明しました。

人類による記録上の初登頂は、1938年8月、政府職員のリー・ヴァイアルが二人のパプアニューギニア人とともに達成しました。ヴァイアルは、この山が赤道に近いにもかかわらず、山頂付近で雪を確認したことを記録に残しています。

第二次世界大戦中の1944年5月22日未明、アメリカ軍の偵察機F-7A（B-24リベレーターの改修機）が、低空飛行中にウィルヘルム山に墜落するという悲劇が発生しました。ラエ近郊のナザブ空軍基地を飛び立ち、オランダ領ニューギニアのパダイドリ島偵察任務中だったこの機体は、午前4時過ぎ、ツインレーク上空約4,000メートル地点で山腹に激突しました。搭乗していた乗組員全員が命を落とし、機体の残骸の多くは麓の湖に沈み、一部は現在も確認できます。犠牲者の遺体は全て回収されています。

ウィルヘルム山では、過去に登山者が命を落とす事故も複数発生しています。1971年12月には、オーストラリア陸軍軍曹クリストファー・ドナン氏が急斜面から滑落し死亡。彼が最後に目撃された場所には追悼の銘板が設置されています。1995年8月には、イスラエル人バックパッカーが足首を捻挫し、グループから離れて留まっていたところ、登山道から外れて夜明け前の暗闇の中、谷底へ転落して死亡しました。彼の遺体は一週間後に発見されました。また、2005年7月30日には、パプアニューギニア観光振興局の要職にあったボブ・マーティン氏（58歳）が、山頂まであと約30分の地点、クリストファー・ドナン氏の銘板のすぐ下で心臓発作を起こし、亡くなっています。

ウィルヘルム山は、パプアニューギニア国内の山々の中で比較的アクセスしやすいとされています。主な登山ルートは二つあります。最も一般的で、体力に応じた難易度で挑戦できるのは、シンブ州クンディアワからの道路が終点となるケグルサグル村からのルートです。もう一つは、西部山岳州のアンブリュア村から始まる、より難易度の高いルートです。

ケグルサグルからのルートは、熱帯雨林を経て高山草原や氷河谷を進み、ピウンデ湖とアウンデ湖（それぞれ男性名と女性名に由来）に至ります。この区間は通常3時間から5時間程度かかります。ピウンデ湖畔には二棟の山小屋があり、かつてのオーストラリア国立大学の観測小屋と、A字形フレームの別の小屋があります。技術的なクライミングは不要ですが、アウンデ湖を過ぎた辺りから、少なくとも四つの区間で確かな足場が非常に重要になります。特に雨天時は滑りやすく危険な箇所が発生するため、注意が必要です。山頂付近の岩がちな地形や高所の影響を軽視してはなりません。山頂を目指す場合、通常は夜明け前の景観を楽しむため、深夜0時過ぎに出発します。往復には通常9時間から24時間程度を要します。早朝に山頂に到達できれば、晴天に恵まれる可能性が高まります。

アンブリュアからのルートは非常に厳しく、踏破には通常4日を要する長丁場です。どちらのルートを選んだ場合でも、ガイドなしでの登山は推奨されません。ケグルサグル村には、約50キナ程度の料金でガイドを務める若者たちがいます。

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