ウェイン・マッカラー

ウェイン・マッカラー



アイルランドベルファストに生まれたウェイン・マッカラーは、主にアメリカ合衆国を活動拠点としたプロボクサーです。1970年7月7日生まれ。

アマチュアでの活躍



アマチュア時代には、1992年のバルセロナオリンピックにアイルランド代表として出場。バンタム級で決勝まで進出し、キューバホエール・カサマヨールに惜しくも敗れたものの、銀メダルを獲得する輝かしい成績を残しました。

プロキャリアのスタート



オリンピックでの成功を経て、翌1993年2月23日にアメリカ合衆国でプロとしてのキャリアを開始。その後もアメリカを主戦場とし、キャリアを重ねました。

プロ転向後、1994年1月18日にはNABF北米バンタム級王座を獲得。同年6月17日に行われた初防衛戦では、元WBC世界バンタム級王者ビクトル・ラバナレス(メキシコ)と対戦し、3-0の判定で勝利を収めました。この試合はWBC世界バンタム級の挑戦者決定戦も兼ねており、マッカラーは世界挑戦への道を切り開きました。

無敗での世界王座獲得



プロデビューから無敗でキャリアを重ね、1995年7月30日、名古屋市の愛知県体育館でWBC世界バンタム級チャンピオンの薬師寺保栄に挑戦しました。このタイトルマッチは激しい打撃戦となり、序盤は手数でマッカラーが優位に進めるも、後半は薬師寺の反撃に遭い劣勢となる場面も見られました。判定の結果は2-1でマッカラーが勝利し、プロ17戦目にして無敗のまま世界王座を獲得するという快挙を成し遂げました。

世界チャンピオンとなったマッカラーは、1995年12月2日には故郷ベルファストで元WBO世界スーパーフライ級王者ジョニー・ブレダルデンマーク)を相手に初防衛戦を行い、8回TKO勝ちを収めました。続く1996年3月30日の2度目の防衛戦では、ダブリンで元WBC世界スーパーフライ級王者ホセ・ルイス・ブエノ(メキシコ)と対戦し、2-1の判定で勝利し、王座防衛に成功しました。

階級アップと挑戦の連続



1997年1月、マッカラーは1階級上のスーパーバンタム級への転向を決意し、保持していたバンタム級王座を返上しました。

同年1月11日には、早速WBC世界スーパーバンタム級王者ダニエル・サラゴサメキシコ)に挑戦しましたが、1-2の判定で敗れ、プロキャリア初の黒星を喫するとともに、2階級制覇はなりませんでした。

その後もマッカラーは世界の頂点を目指し、階級を上げて挑戦を続けました。1998年10月31日にはフェザー級でWBO世界フェザー級王者ナジーム・ハメドイギリス)に挑みましたが、0-3の判定で敗れました。1999年10月22日には再びスーパーバンタム級に戻し、WBC世界スーパーバンタム級王者エリック・モラレスメキシコ)に挑戦しましたが、これも0-3の判定で敗れました。これらの挑戦はいずれもベルト獲得には至りませんでした。

健康問題と復帰



2000年10月、故郷ベルファストでの試合を控えていたマッカラーは、試合直前に頭部に嚢胞が見つかったとして試合をキャンセルせざるを得なくなりました。UCLAでの精密検査の結果、嚢胞は脳と頭蓋骨の間にあるもので、ボクシングの試合に影響はないと診断されましたが、英国ボクシング管理委員会(BBBofC)は当初ライセンス発行を許可しませんでした。

しかし、2002年1月にはネバダ州でライセンスが許可され、同年1月12日にリングに復帰。その後、BBBofCからもライセンスが認められ、同年9月14日にロンドンで、11月2日にはベルファストで試合を行いました。

キャリア後半



復帰後もマッカラーは世界挑戦への意欲を失わず、2003年3月22日にはフェザー級でWBO世界フェザー級王者スコット・ハリソン(スコットランド)に挑みましたが、0-3の判定で完敗。再び2階級制覇は遠のきました。この後、1年半ほどリングから遠ざかる期間がありました。

2005年2月10日には、再びスーパーバンタム級での世界挑戦として、WBC世界スーパーバンタム級王者オスカー・ラリオス(メキシコ)と対戦しましたが、0-3の判定で敗れました。同年7月16日にはMGMグランドでラリオスに再挑戦しましたが、キャリアで初めてのKO負けとなる10回終了時TKOで敗れ、最後の世界挑戦も成功しませんでした。

2005年9月にはアメリカ合衆国の国籍を取得しています。

2008年6月20日、約3年ぶりの復帰戦としてNABF北米フェザー級王座決定戦に出場しましたが、6回終了時に棄権し、これが事実上キャリアの終盤となりました。

ウェイン・マッカラーは、オリンピックでのメダル獲得からプロでの世界王座獲得、そして度重なる2階級制覇への挑戦といった波瀾万丈のキャリアを送ったボクサーです。特に薬師寺保栄との激闘は、日本のボクシングファンにも深く記憶されています。

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