ウェストミンスター会議

ウェストミンスター会議（英語: The Westminster Assembly of Divines）は、17世紀半ばの激動期、具体的には清教徒革命（イングランド内戦）が勃発していた1643年に、ロンドンのウェストミンスターにおいて開催された重要な神学者会議です。イングランド国教会を改革・再編することを目的として、長期議会の主導によって招集されました。

この会議の招集には紆余曲折がありました。議会内で影響力を持っていたピューリタンたちは、1642年半ばから1643年春にかけて、実に五度にわたり国王チャールズ1世に会議の開催を求めましたが、国王は頑なにこれを拒否しました。最終的に、国王の同意を得られないまま、庶民院が条例案として準備を進め、五度目の提出で可決に至りました。そして、貴族院の承認を経て、1643年6月、国王の同意なく議会独自の権限でこの条例が発効し、会議の開催が実現したのです。

会議は、121名の高名な神学者や牧師に加え、貴族10名と庶民20名からなる30名の信徒委員、合計151名で構成されました。参加した聖職者たちは、当時のイングランド教会における主要な四つの神学・教会政治上の立場、すなわち監督制、長老制、会衆制、そしてエラストス主義の代表者たちでした。

1643年7月1日に開会された会議は、その後1649年までの約6年間、実に1163回もの会合を重ねました。参加した神学者たちには、日当として一日あたり4シリングが支給されました。会議の当初の任務は、イングランド国教会が定めていた信仰箇条である「39箇条」の見直しと改定でした。

会議の期間は、第一次イングランド内戦の真っただ中にありました。議会は、チャールズ1世に味方する可能性があったアイルランドのカトリック勢力による反乱の危険性を鑑み、スコットランドとの連携を強化する必要性を感じました。この状況下で締結されたのが、イングランド議会とスコットランド国民盟約との間の軍事・宗教同盟である「厳粛な同盟と契約」です。この同盟において、スコットランド側は自国の改革派信仰を守るため、イングランドとアイルランドにおける教会改革、特にカトリック的な監督制の廃止を強く求めました。この同盟に基づき、スコットランド国民盟約から6名の委員がウェストミンスター会議に派遣され、議論に加わることになりました。

スコットランドとの連携や内戦の進展を受け、会議の任務は大きく転換します。1643年10月12日、議会からの新たな指示により、会議は「神の聖なる言葉に則り、教会と家庭の秩序を守り、スコットランド教会を含む他の改革派教会と一致する、戒規と教会政治」に関する勧告を行うことへと焦点を移しました。この方針転換により、「39箇条」の修正作業は中断され、より包括的で新たな信仰基準の策定が中心課題となります。そして、その後の約4年間で、今日なお改革派教会において広く用いられている一連の重要な文書群が生み出されました。これには、

ウェストミンスター信仰告白
ウェストミンスター大教理問答
* ウェストミンスター小教理問答

が含まれます。議会下院はこれらの文書に対し、聖書からの根拠箇所を付記することを要求しました。

会議では、教会の統治形態（教会政治）についても集中的な議論が行われましたが、監督制、長老制、会衆制、エラストス主義といった異なる神学・政治的立場間の溝は深く、残念ながら最終的に共通の合意に達することはありませんでした。

ウェストミンスター会議で作成された一連の文書は、イングランド議会によって採択されましたが、1660年の王政復古により、イングランドにおけるその法的効力は失われました。しかし、これらの文書はスコットランド教会では全面的に受け入れられ、今日に至るまでその信仰と実践の重要な基盤となっています。さらに、ウェストミンスター会議の成果は、ヨーロッパやアメリカ合衆国をはじめとする世界各地で成立・発展した長老教会や改革派教会にとって、信仰の告白や教理教育における基礎的な規範として広く採用されることになり、その影響は現代まで及んでいます。

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