ウェンブリー・パーク駅

ウェンブリー・パーク駅は、ロンドン北西部ウェンブリー・パーク地区に位置するロンドン地下鉄の駅です。ジュビリー線とメトロポリタン線の2路線が乗り入れ、ウェンブリー・スタジアムやウェンブリー・アリーナへの最寄り駅として、多くの利用客で賑わっています。

1880年以前、メトロポリタン鉄道（MR）の路線はウィルズデン・グリーン駅までしか運行されていませんでした。その後、ハーロー＝オン＝ザ＝ヒル駅への延伸工事が始まり、ウェンブリー近郊を通過するものの、当時は人口もまばらで、駅設置の必要性は低いと判断されました。しかし、MRの会長エドワード・ワトキンは、ウェンブリー周辺の土地開発に着目。広大な土地を購入し、遊園地「ウェンブリー・パーク」の建設を計画しました。この遊園地の目玉は、エッフェル塔を凌ぐ高さのワトキンズ・タワーでしたが、計画は途中で頓挫しました。

それでも、ウェンブリー・パークは人気を集め、1893年10月14日、ウェンブリー・パーク駅がサッカーの試合開催日限定で開業。翌年には全面開業しました。当初から多くの利用客を見込み、駅舎には余裕のあるホームが設計されました。その後、グレート・セントラル鉄道の線路が隣接して建設されるなど、周辺の鉄道網も発展を遂げます。

1932年には、ウェンブリー・パーク駅からスタンモア駅への支線が延伸され、更に、混雑緩和のため、ベーカールー線のトンネル新設工事が行われました。1939年には、ベーカールー線が、ウェンブリー・パーク駅とフィンチリー・ロード駅間のメトロポリタン線とスタンモア支線を継承しました。

1948年のロンドンオリンピック開催時には、来場客増加に対応するため駅舎の増築が行われました。赤レンガ造りの近代的なデザインが取り入れられ、切符売り場や通路、階段などが拡張されました。1979年には、ベーカールー線がジュビリー線に移管されました。

1996年のUEFA欧州選手権開催時には、大規模な仮設階段が設置されましたが、これは2004年の駅舎改築まで未完成のまま残されました。2000年代前半には、ウェンブリー・スタジアムの再開発に伴い、ウェンブリー・パーク駅の大規模な改築・増築工事が行われました。収容能力が70％向上し、バリアフリー対応のエレベーター設置など、利用者の利便性向上のための改良が施されました。この工事は、スタジアム完成前の2006年に完了しました。

現在、ウェンブリー・パーク駅には、ジュビリー線2線路、メトロポリタン線2線路（各高速・低速）の計6線路が設置されています。ラッシュ時間帯には、快速・準快速列車が運行され、一部列車は通過します。また、ジュビリー線・メトロポリタン線の始発・終着駅にもなっています。

駅周辺には、ロンドンバス路線も多数乗り入れており、周辺地域とのアクセスも良好です。今後の開発計画としては、ウェスト・ロンドン・オービタル計画（既存線路を活用した地上走行路線）や、近距離バス路線の整備などが検討されています。

ウェンブリー・パーク駅は、長い歴史と幾度かの改修を経て、現在もロンドン北西部を代表する交通拠点として重要な役割を担っています。周辺地域の開発とともに、今後も発展を続けることが期待されます。

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