ウエスレアン・アルミニアン神学

ウェスレー・アルミニウス主義の概要

ウェスレー・アルミニウス主義、またはウェスレイアン=アールミニアン神学は、18世紀の神学者ジョン・ウェスレーによって発展されたキリスト教の神学的潮流であり、アールミニウス主義の枠組みの中に位置しています。この主義は、特にいくつかの顕著なポイントにおいてウェスレー自身の独自の視点を反映しています。具体的には、「先行的恩寵」の概念の明確化、限定的贖罪の否定、そして聖徒の堅忍に対する異議などが挙げられます。

先行的恩寵の概念

ウェスレーはアダムの堕落以降、人類が抱える「全的堕落」の教えをより一層明確に示しました。この考えにおいては、ジャン・カルヴァンの神学との差異は見られません。カルヴァンもウェスレーも、人は神からの福音の呼びかけに応える能力が欠如していると理解しています。しかし、カルヴァンが救いへの道を神の選びに見出すのに対し、ウェスレーはキリストの贖罪が全人類に向けられていることを強調しました。

ウェスレーによれば、すべての人はアダムの堕罪の結果として全的に堕落しているが、キリストの十字架の死を通じて神の恵みは全ての人に与えられていると主張しました。この恵みによって、人々は自由意志を用いて福音に応答できるのです。このような前提から「先行的恩寵」という概念が生まれ、ウェスレーはこの教義を「全的堕落」と共に考えるべきであると強調しました。

限定的贖罪の否定

ウェスレーは、限定的贖罪の教理を受け入れることができませんでした。彼はこの教理が、特定の人々の滅びを神の意志と結びつけてしまうことになると考えました。ウェスレーにとって、キリストの十字架の業は全人類のために備えられているものであり、救いを拒むことは個々の自由意志の選択の結果であると見なしたのです。彼の聖書的理解の中では、神の選びのみで救われるのではなく、すべての人に贖いの機会が与えられているとされています。

永久保全と聖徒の堅忍への反対

さらに、ウェスレーは聖徒の永遠堅持という教義にも異議を唱えました。彼は、聖書に見られる信仰からの堕落に関する警告が、一度持った信仰を失う可能性を示唆していると理解していました。ウェスレーは、アルミニウス主義に基づく正当な信仰の信者が神の力によって守られるとしつつも、堕落の可能性を否定することはできないと認識していたのです。

結論

このように、ウェスレー・アルミニウス主義は、特に「先行的恩寵」や「一般的な贖罪」の教えが中心となる神学的枠組みを提供します。ウェスレー自身の教えは、神の恵みの普遍性や、人間の自由意志に基づく救いの可能性を強調しており、現代のキリスト教においても影響を与えています。ウェスレーの考え方は、信仰の多様性を受け入れる姿勢と、神の愛が全ての人に向けられていることを示すものであり、彼の神学は今なお多くの信者にとって励ましとなる教えを提供しています。

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