ウエンシリ岳

ウエンシリ岳：北海道の険しい峰と氷のトンネル

北海道北見山地の北部に位置するウエンシリ岳は、標高1,142.3mを誇る雄大な山です。紋別郡滝上町、紋別郡西興部村、上川郡下川町の3町村にまたがり、山頂には一等三角点「察来岳」が設置されています。その険しさからアイヌ語で「ウエン・シリ（険悪な山）」と名付けられ、北海道百名山にも選定されている人気の登山スポットです。

急峻な山容と豊かな自然

ウエンシリ岳は、急峻な山稜と深い谷が織りなす、変化に富んだ地形が特徴です。多くの滝が流れ落ち、夏季でも雪渓が残るなど、手つかずの自然が豊富に残されています。特に、第二藻興部川には、氷河期を思わせる神秘的な氷のトンネルが存在していました。しかし、平成13年の崩落により現在は通行止めとなっています。毎年7月最終日曜日に、地元の商工会青年部が一日限りの解放イベントを開催し、氷のトンネルを公開しています。イベント時には、ウエンシリキャンプ場からシャトルバスが運行されます。

多様な登山ルート

ウエンシリ岳への登山ルートは、主に西興部村と下川町から伸びています。西興部村からのルートは2つあり、どちらも岩場や急登が多く、中級者以上の登山経験が推奨されます。

ウエンシリキャンプ場ルート: 最も一般的なルートで、山頂東側の尾根を登ります。距離は短いものの、急登と岩場が連続するため、体力と技術が求められます。
中央登山口ルート: 森林基幹道札滑ウエンシリ線を進み、標高549m地点の峠から登ります。標高1,024mピークで主稜線に入り、稜線を南下して山頂を目指します。ウエンシリキャンプ場ルートと周回する登山者も多いようです。
* 下川ルート: 下川町からのルートは、国道239号から奥名寄林道、ポロナイプ林道と進みます。奥名寄林道の入口はゲートで閉鎖されているため、事前に入林許可を得る必要があります。登山口からは南東方向の尾根を登り、標高1,083mピークで中央登山口ルートと合流します。

いずれのルートも、しっかりとした装備と体力、そして登山経験が必要です。

ポロナイポ岳

ウエンシリ岳から南西方向に位置するポロナイポ岳(標高1,111m)も、登山家の心を掴む山です。アイヌ語で「ポロ・ナイ・ポ（大きい・沢・子供）」を意味し、ウエンシリ岳以上に険しい地形と藪漕ぎが多いことが知られています。より高度な登山技術と体力が必要となる、上級者向けの登山ルートと言えるでしょう。

まとめ

ウエンシリ岳は、その険しい山容と豊かな自然、そして神秘的な氷のトンネルで知られる、北海道を代表する山のひとつです。挑戦する価値のある、素晴らしい登山体験を提供してくれるでしょう。ただし、登山には危険が伴います。十分な準備と計画、そして安全対策を講じた上で登山に挑戦してください。

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