ウォーディアン

ウォーディアン（Wordian）

ウォーディアンは、国際層序委員会により定義された地質時代名のひとつであり、中期ペルム紀に属します。この期間は約2億6880万年前から2億6510万年前に当たり、グアダルピアン世を三分する中期となります。ウォーディアンは、ローディアンとキャピタニアンに挟まれた時代で、主にアメリカ合衆国のテキサス州でその模式地が確認されています。別名ワーディアンとも称されます。

層序について

ウォーディアンという用語は1916年、地質学者のヨハン・アウグスト・ウッデンによって初めて文献に記され、アメリカ合衆国パーミアン盆地のウォード累層からその名をとりました。1961年にグアダルピアン世の層序的下位分類としての使用が確立されて以降、ウォーディアンは国際的にも認知されるようになりました。2001年には国際層序委員会によって公式に時代区分として承認されています。

ウォーディアンの始まりは、コノドントの特定の種の初出現によって定義され、同じくアッセリアン、ローディアン、キャピタニアン、ウーチャーピンジアン、チャンシンジアンの各期と類似の基準が設けられています。

生物多様性の観点

この時期には、前期のグアダルピアン世において陸上の脊椎動物の大規模な絶滅現象、いわゆるオルソン絶滅事変が起こりました。この出来事は、ウォーディアンの生態系に大きな影響を与え、その後の生物多様性に影を落としました。

日本におけるウォーディアンの発見

日本の地質学においてもウォーディアンに関連する重要な発見があります。三重県志摩半島に存在する宮成層群からは、放散虫のParafusulina kaerimizensisが発見されており、この種はローディアンからウォーディアンにかけての生息が確認されています。このことから、宮成層群は前期ペルム紀から前期ウォーディアンの地層であると考えられています。

また、大分県の臼杵市野津町にある奥河内累層では、ジュラ系珪質岩の中からウォーディアンに属する新種のフズリナ8種や非フズリナの有孔虫7種が発見され、これもウォーディアン期の存在を裏付ける重要な証拠となっています。

茨城県の日立市においても、鮮新統の久米累層基底の礫岩から16属17種からなる腕足動物の化石が見つかり、2014年にはその年代がウォーディアン期であると推定されました。このように、日本国内での地質の調査は、ウォーディアン初期の環境や生物群に関する理解を深める助けになっています。

また、兵庫県篠山地域の藤岡奥セクションでは示準化石は確認されなかったものの、Pseudoalbaillella simplexやParafollicucullus sakumarensisといった放散虫の化石が見つかり、これに基づく化石層序によりアッセリアンからキャピタニアンに相当する可能性があるとされています。

これらの研究成果は、ウォーディアンの理解を深めるとともに、その生物多様性や地質環境の変遷を探る重要な鍵となっています。

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