ウクライナ共産党

ウクライナ共産党：歴史と終焉

ウクライナ共産党は、ウクライナにおける長く複雑な歴史を持つ政党です。その起源は1918年に遡り、当初はロシア共産党の一派として誕生しました。ソビエト連邦時代にはウクライナ共和国の支配政党として君臨し、絶大な権力を掌握していました。しかし、1991年のウクライナ独立によって状況は一変します。

独立後、ウクライナ共産党は非合法化されましたが、1993年にペトロ・シモネンコらによって再結成されました。その後、幾度かの議会選挙で第一党となるなど、強い影響力を持っていました。特にウクライナ東部・南部地域では高い支持率を誇り、社会主義、ソ連再建、ロシアとの協力、ロシア語の国語化などを主張するなど、親露的な姿勢を明確にしていました。

しかし、党内にはさまざまな意見が存在し、2000年にはミハイロ・サヴェンコらによるウクライナ共産党（革新）の結成、2001年にはオレクサンドル・ヤコヴェンコらによる労農共産党の結成など、分裂を繰り返しました。

2007年の議会選挙では27議席を獲得し、親露派の地域党と連携してヤヌコビッチ政権の与党となりました。2012年の選挙でも32議席を獲得するなど、依然として存在感を示していました。

しかし、2014年のウクライナ騒乱と親欧米政権の誕生は、ウクライナ共産党にとって大きな転換点となりました。親欧米勢力は共産党の排除を図り、2014年7月には議席を剥奪されました。同年10月の議会選挙では5％の得票率を得られず、議席獲得に失敗しました。

さらに、2015年にはウクライナ政府が「共産主義・ナチズム宣伝禁止法」など共産主義関連の活動を規制する法律を制定しました。これにより、ウクライナ共産党は事実上、政治活動を禁止され、同年12月にはキエフの行政裁判所から解散命令が出されました。この命令は2016年1月に最高裁判所によって確定し、ウクライナ共産党は欧州人権裁判所への提訴に踏み切りました。

2019年には、党首であるシモネンコの2019年大統領選挙への立候補が同法違反を理由に拒否されました。

そして、2022年のロシアによるウクライナ侵攻という事態が勃発します。シモネンコ自身はロシア支持の立場を表明しており、キーウ攻勢の最中にはロシア軍の支援を受けてベラルーシへ逃亡したとされています。同年5月には、ウクライナ共産党の解散命令確定の控訴が棄却され、7月にはウクライナ政府によって恒久的に禁止、党資産の国有化が決定しました。

ウクライナ共産党の長い歴史は、2022年の解散によって終焉を迎えました。ソ連時代からの支配政党から、独立後の政治的闘争を経て、最終的にはウクライナ政府によって完全に解体されるという、激動の軌跡を辿ったと言えるでしょう。その歴史は、ウクライナの政治的変遷と、冷戦終結後の東欧諸国の共産党の運命を理解する上で重要な事例となっています。 ウクライナ共産党の活動は、歴史的な視点から多角的に分析する必要があり、その影響は今もなおウクライナの政治状況に影を落としています。

もう一度検索