ウコン (サクラ)

ウコンザクラ：日本の春を彩る、希少な黄緑色の桜

ウコンザクラ（学名：Cerasus Sato-zakura Group ‘Grandiflora’ A. Wagner）は、バラ科サクラ属に属する、日本原産の栽培品種です。オオシマザクラを起源とし、サトザクラ群に分類されます。その名の由来は、ショウガ科のウコンの根を染料に使った鬱金色（うこんいろ）に由来しています。別名として「浅黄桜」とも呼ばれます。

ウコンザクラは、江戸時代以前から日本で栽培されており、特に荒川堤では古くから親しまれてきました。最大の特徴は、その花の色です。ギョイコウ、スマウラフゲンゾウ、園里黄桜、園里緑龍といった品種と同様に、黄色や黄緑色、緑色系の珍しい花を咲かせます。

近年のDNA解析により、ウコンザクラは枝変わりによって生まれた可能性が示唆されています。花弁に含まれるカロテノイド（黄色）とクロロフィル（緑色）の量によって、花の色が微妙に変化します。ウコンザクラの場合、クロロフィルが少量であるため、黄緑色、あるいは淡黄色に見えます。一方、ギョイコウのようにクロロフィルを多く含む品種は、より濃い緑色の花を咲かせます。

樹形は高木で、盃状に広がります。花は八重咲きで、黄緑色に近い、明るい黄色の大きな花を咲かせます。東京近郊では4月中旬が見頃です。

ウコンザクラの美しい花は、日本国内だけでなく海外でも高い人気を誇ります。その希少性と独特の色彩は、多くの桜愛好家を魅了し続けています。

ウコンザクラの近縁種

ウコンザクラと性質が似ている桜の品種として、以下のものがあります。

ギョイコウ（御衣黄）：緑色の花を咲かせます。ウコンザクラと同様に、クロロフィルを多く含むことが特徴です。
スマウラフゲンゾウ（須磨浦普賢象）：ウコンザクラよりも濃い黄色の花を咲かせます。花弁の数は、ウコンザクラやギョイコウよりもはるかに多いのが特徴です。

ウコンザクラの研究

日本の桜に関する研究において、公益財団法人日本花の会は重要な役割を果たしています。ウコンザクラを含む様々な桜の品種について、分類、遺伝子解析、保全など多角的な研究に取り組んでいます。これらの研究は、ウコンザクラのさらなる理解を深め、その保全に役立っています。

ウコンザクラは、その美しい花だけでなく、日本の歴史や文化、そして科学研究の側面からも貴重な存在です。これからも、多くの人々に愛され、その魅力が伝えられていくことを願っています。

もう一度検索