ウスヒラタケ

ウスヒラタケについて

ウスヒラタケ（薄平茸、学名: Pleurotus pulmonarius）は、ヒラタケ科ヒラタケ属に属する小型から中型の食用キノコです。特徴的な半円形の傘を持ち、傘の表面は淡い灰色をしています。ユニークな点として、茎がほとんど発達せず、傘が直接倒木に付着しているように見えるのがこのキノコの大きな特徴です。在来種では、日本、ヨーロッパ、北アメリカに広く分布しています。

発生時期と生態

ウスヒラタケは主に夏から秋にかけてよく見られます。特に梅雨の時期から初秋にかけて多く見かけることができ、シイ・カシ林や雑木林、さらにはブナ・ミズナラ林などの広葉樹の倒木や切り株の周りで群生することがあります。暑い夏には、山の渓流や沢沿いの倒木でも見かけることができるため、登山やハイキングの際などに遭遇することがあるかもしれません。

形態の特徴

野生のウスヒラタケは、一般的にヒラタケよりも小型で薄い傘を持っています。傘の径は2～8センチメートルであり、最初は丸い形をしていますが、成長するにつれて半円形や扇状に変わります。傘の肉は中央部で1～3ミリメートルと薄く、透明感があり食感はやわらかく、時には微かに粉臭が感じられます。また、色は若い時期には薄褐色を帯びますが、成長するにつれて白色から淡灰色まで変化します。

傘の裏側にはヒダがあり、最初は白色ですが、古くなるにつれてクリーム色からレモン色に変わり、柄に垂れ下がっています。ヒダには小さなこぶができることがあり、これはキノコバエによる線虫の寄生が原因です。

食用利用

ウスヒラタケはそのクセのない味わいから多くの料理に利用されています。しっとりとした質感があり、口当たりの良さが評価されています。その香りはとても良く、新鮮な状態のものはかじると豊かな香りが口の中に広がります。ウスヒラタケは特にビタミンB1やB2を豊富に含んでいるため、栄養面でも魅力的です。

このキノコは洋風の煮込み料理や和風のすまし汁、けんちん汁などのスープ、鍋物などに適しています。また、すき焼きや味噌汁の具材として、あんかけ料理や鉄板焼き、さらにはアヒージョやパエリアなど、さまざまな料理に使うことができます。

近縁種の紹介

ウスヒラタケの仲間には、食用に適さないキヒラタケやスエヒロタケ、食用となるヒラタケなどがあります。ヒラタケ（Pleurotus ostreatus）は冬にかけて発生し、傘は濃い灰色で肉がさらに厚いのが特徴です。対してウスヒラタケは梅雨から夏にかけて多く見られるため、その時期に出会うことができます。

参考文献

• - 秋山弘之『知りたい会いたい 色と形ですぐわかる 身近なキノコ図鑑』家の光協会、2024年9月20日。
• - 今関六也・他『日本のきのこ』（増補改訂新版）山と渓谷社、2011年12月25日。
• - 牛島秀爾『道端から奥山まで採って食べて楽しむ菌活 きのこ図鑑』つり人社、2021年11月1日。
• - 瀬畑雄三監修『名人が教える きのこの採り方・食べ方』家の光協会、2006年9月1日。

ウスヒラタケはその独特な形状や食味、栄養価から、さまざまな料理に重宝され、日本国内外で親しまれています。

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