ウドゥルタイ

ウドゥルタイについての詳細

ウドゥルタイ（至元8年（1271年）- 大徳6年1月10日（1302年2月8日））は、大元ウルス中期に活躍した領侯であり、アントンの子でバイジュの父として知られています。彼は『元史』などの漢文史料では兀都帯（wùdōudài）と表記されています。

ウドゥルタイは、父アントンと同じく宿衛の長を務め、国家の安定と防衛に寄与しました。年代記『元史』に記録されているように、父が亡くなった際には彼は贈物を一切受け取らず、質素な葬儀を行ったとされています。また、彼は母親に対しても孝行を尽くしていたとされ、家庭を重んじる人物であったことが伺えます。

クビライの崩御やテムルの即位の際には、銀青栄禄大夫や大司徒に任命され、太常寺の役割を担い、クビライの葬儀や廟号の決定に深く関わりました。彼の立場は尊重されていたものの、時代背景は彼の運命に影響を与えることになります。

テムルの時代に入ると、ウドゥルタイはテムルに反抗的な諸侯の一人として名前が挙がるようになります。1296年11月には、ウドゥルタイがオゴデイ以来のモンゴル帝国の実録を翻訳してテムルに進呈する場面がありますが、これに対してテムルはその内容に多くの誤りがあるとして激怒しました。

また、大徳元年の1296年の閏12月には、テムルが新年の朝賀にウドゥルタイの遅延を理由に非難し、崔彧に監察を命じたことも記されています。これらの事件には、ウドゥルタイの父アントンの失脚に伴う不遇に不満を抱く気持ちや、テムルのウドゥルタイに対する不信が背景にあると考えられています。このため、ウドゥルタイは実務的な役割を果たす官職にはつくことができませんでした。

ウドゥルタイは大徳6年（1302年）に32歳で亡くなります。彼の遺児バイジュは当時僅か5歳であったため、宿衛長を継承することは許されませんでした。しかし、彼の死の7年後、至大2年（1309年）にバイジュが宿衛長に任じられ、その際にはウドゥルタイに保徳翊運功臣・太師・開府儀同三司・上柱国・東平王の称号と忠簡の諡号が追贈されています。

ウドゥルタイの一族は、バアトル系国王ムカリ家や他の重要な家系とも関わりがあり、彼の存在は当時のモンゴルにおける政権や権力闘争に深く関わっていました。彼の生涯とその影響は、モンゴル国家の歴史を理解する上で重要な要素となっているのです。

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