ウミガラス属

ウミガラス属（Uria）

ウミガラス属（学名：Uria）は、鳥綱チドリ目ウミスズメ科に分類される海鳥の一群です。この属に属する鳥類は、主に北大西洋と北太平洋の寒冷な海域に生息しており、外洋や沿岸の海上で活動しています。

分布

本属の鳥類は、北半球の高緯度地域に広く分布しています。具体的な生息範囲は、北米大陸、ヨーロッパ、アジア北部の沿岸から外洋にかけての北大西洋および北太平洋です。

形態的特徴

ウミガラス属の鳥類は、比較的大型のウミスズメ類で、成鳥の全長は概ね43センチメートルから46センチメートル程度になります。羽色には明確な特徴があり、体の背面から翼にかけては濃い黒褐色を呈し、腹部から体の下面にかけては鮮やかな白い羽毛で覆われています。特に、翼の一部である次列風切の外縁（羽縁）に白いラインが入っていることが識別点の一つとなります。

嘴は全体的に黒色で、がっしりとしています。脚は短く、やはり黒い色をしています。陸上、特に繁殖地の断崖などで移動する際には、踵を地面につけて直立に近い姿勢で歩く姿が見られます。

繁殖期に産む卵は、非常に特徴的な洋ナシ形（西洋ナシのような形）をしています。この独特な形状は、断崖の狭い岩棚など傾斜のある場所に直接産み落とされた際に、誤って転がってしまっても、尖った方が支点となってその場を中心に回転するだけで、崖下へ落下するリスクを軽減するための適応と考えられています。

羽毛の色合いは季節によって変化します。夏羽では、嘴の基部から喉にかけての顔の部分が黒い羽毛で覆われますが、冬羽に換羽するとこの部分の羽毛が白くなります。

分類される主な種

ウミガラス属には、主に以下の2種が分類されています。

ウミガラス（Uria aalge） - 英名：Common Guillemot または Common Murre
ハシブトウミガラス（Uria lomvia） - 英名：Brünnich's Guillemot または Thick-billed Murre

生態

ウミガラス属の鳥類は、その一生の多くを海洋上で過ごす海鳥です。社会性が非常に高く、常に群れを形成して生活しています。特に繁殖期には、数万羽から数十万羽にも及ぶ大規模な集団繁殖地（コロニー）を形成し、断崖の岩棚などに密集して営巣します。

食性は動物食で、主に海に潜って獲物を捕らえます。彼らの主要な餌は魚類ですが、その他にもエビやカニなどの甲殻類、イカやタコなどの軟体動物なども捕食します。

繁殖は卵生で行われます。先の形態の項で述べたように、断崖の比較的平らな岩棚などに巣材を用いずに直接、洋ナシ形の卵を1個だけ産み落とします。親鳥は雌雄交代で抱卵し、雛の世話をします。

冬季には、生息域の中でもより温暖な南方の海域へと移動（渡り）して越冬します。繁殖地から離れた場所でも、引き続き群れで行動することが多いです。

人間との関わり

ウミガラス属の鳥類は、漁業活動において意図せず漁網などにかかってしまう「混獲」によって、生息数が減少傾向にあることが指摘されています。特に刺し網漁などにおいて被害を受けることが多いとされています。また、過去には食用や羽毛採取のための狩猟、近年では海洋汚染なども生息数を脅かす要因となることがあります。

（注：本項目で述べられている内容は、提供された情報を基に構成されています。）

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