ウラジーミル・メジンスキー

ウラジーミル・メジンスキー：ロシアの文化と歴史を語る

ウラジーミル・ロスチスラヴォヴィチ・メジンスキー（Влади́мир Ростисла́вович Меди́нский）は、1970年7月18日、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国のチェルカースィ州スミラ市に生まれました。彼はジャーナリスト、作家、評論家、政治家、そして学者として多方面で活躍する人物です。政治学および史学の博士号を有し、2004年から2011年までロシア連邦議会下院国家会議代議員を二期務めました。この間、下院企業小委員会議長、環境・天然資源委員会副議長、文化委員会議長を歴任しました。2012年からはドミートリー・メドヴェージェフ政権で文化大臣を務め、その後、ウラジーミル・プーチン大統領に重用され、2020年からロシア連邦大統領補佐官に就任しています。

経歴

メジンスキーの経歴は多岐にわたります。

1992年、モスクワ国際関係大学国際ジャーナリズム学部を卒業。1991年から1992年には、アメリカのワシントンD.C.にあるソビエト連邦大使館広報部で研修生として活動しました。
1992年から1998年までは、株式会社Я（ヤー）のディレクターを務めました。
1998年から1999年には、ロシア連邦税務警察庁長官顧問、連邦税務局情報部門長を歴任しました。
1999年から2000年には、祖国・全ロシア中央選挙管理委員会本部長を務め、政党Unityのメンバーでもありました。
2000年から2002年までは、国家院副議長ゲオルギー・ボースの顧問を務めました。
2002年から2004年までは、統一ロシアモスクワ支部選挙委員会委員長を務めました。
2003年から2011年までは、国家院下院議員に選出されました。
2004年から2005年には、統一ロシア中央執行委員会副主任として情報分析を担当しました。
2006年から2008年までは、ロシア社会コミュニケーション協会の会長を務めました。
2007年には、リペツク州から国家院議員に選出され、韓国国会とロシア国家院との調整に従事しました。
2011年には、国家院文化委員会長を務めました。
2012年5月21日、ドミートリー・メドヴェージェフ内閣のロシア文化大臣に任命されました。与党統一ロシアの最高会議議員であり、モスクワ国際関係大学の教授、ロシア作家同盟の会員でもあります。
2013年以降、ロシア軍事歴史協会の会長を務めています。2013年、メジンスキーの文化省は「寛容と多文化主義」の拒絶を呼びかけ、ロシアの伝統的価値観を強調しました。
2015年には、西欧思想と戦うための「愛国インターネット」を創設しました。
2020年、ロシア連邦大統領補佐官に就任しました。
2021年には、プーチン大統領から歴史を改ざんする試みに対抗するための歴史教育委員会委員長に任命されました。この委員会は、ロシアの国益を損なう外国および個人の活動を分析することを目的としています。
2022年には、ロシアのウクライナ侵攻における停戦交渉で、ロシア代表団のトップを務めました。侵攻については「私たちは平和を支持する」と表明しています。

人物像と思想

メジンスキーは、ロシアの歴史と文化に関する独自の視点を持つ人物として知られています。彼の著作『ロシアについての神話』シリーズでは、ロシアの歴史における抑圧、弾圧、そしてロシア人の残酷さを肯定的に描いており、ロシアの歴史を正当化する内容が含まれています。筑波大学の中村逸郎教授は、メジンスキーにとってロシアの国家、国益、国家主権が最重要であり、「ロシアのすごい所は、こんなに悪い国だというのを誇らしげに書いている」と指摘しています。また、プーチン大統領は自らの政治を正当化するためにメジンスキーの思想を必要としていたとも述べられています。

メジンスキーは、「古典主義と伝統的な価値観に夢中になっている民族主義者」と評されており、文化大臣在任時には、ロシア帝国時代の軍人を称え、各地に70以上の記念碑を建設しました。また、レーニン廟からウラジーミル・レーニンの遺体を撤去して埋葬する意見を支持しています。スターリンの彫像についても、大多数が支持する地域に建てるべきだという考えを持っています。彼はテレビドラマ『チェルノブイリ』(2019)を称賛しており、これは彼の父親がチェルノブイリ原子力発電所事故のリクビダートル（処理作業員）であったことが背景にあります。

盗作疑惑

メジンスキーの学術的業績には、盗作疑惑がつきまとっています。

1997年に政治学博士論文、1999年に政治学高等博士論文、そして2011年にはロシア国立社会大学で歴史学博士論文「15世紀後半から17世紀までのロシア史報道における客観性の問題」を提出しましたが、これらの論文には既存の学術研究との酷似が指摘され、盗作の疑いが浮上しました。
2014年5月23日、論文盗作調査グループであるディザーネット（Dissernet）は、1997年と1999年のメジンスキーの2つの論文で盗作を発見したと報じました。一方の論文では120ページのうち87ページが、メジンスキーの科学顧問S. A.Proskurinの論文からの借用であり、もう一方の論文では21ページが他人の作品のテキストと一致していました。
2017年10月3日、ロシア学術評議会はメジンスキーの2011年の博士号取り消しを推奨しましたが、2017年10月20日、高等学位を監督する政府機関が、メジンスキーの学位を認めたため、学位は維持されました。

栄典と著作

メジンスキーは、その功績により聖アレクサンドル・ネフスキー勲章を授与されています。

彼の著作には、以下のようなものがあります。

『商業広告の法的基礎』（Kirill Vsevolozhskiyとの共著, 1998）
『ロシアについての神話』シリーズ（モスクワ：オルマメディアグループ出版）
『ロシアの酩酊、怠惰、残酷さについて』（2008）
『危機』（Хинштейн А. Е.共著, 2009）
『ロシア史の残酷さと苦しみについて』（2010）
『ロシアの汚れと古くからの技術的な後進性について』（2010）
『ロシアの脅威とピョートル1世の秘密の計画について』（2010）
『ロシアの盗難について、特別で長い苦しみ』（2010）
『ロシアの奴隷制、汚れ、そして「人々の刑務所」について』（2010）
『誰がいつロシアの神話を作ったか』（2010）
『「強い手」と民主主義の無力さに対するロシア人の渇望』（2010）
『「特別な道」と神秘的なロシアの魂』（2010）
『全国宣伝の特徴。リューリクからピョートルまでのロシアの本当の歴史』（2010）
『ロシア史の骨格』（2010）
『ロシアについて-「人々の刑務所」—』（2011）
『ソ連の戦争の神話：1939-1945』（2011）
『悪党と宣伝の天才 - リューリクからイヴァン3世まで』（2011）
小説『壁』（2012）
教科書『ロシア軍事史』（Р., Мягков М. Ю., Никифоров Ю. А.共著, 2019）
教科書『6年生から10年生までロシアの歴史』（Под ред. Мединского В. Р.共著, 2021）

メジンスキーは、ロシアの政治と文化に深く関わる人物として、その活動と発言は常に注目を集めています。

関連項目

ウラジーミル・プーチン
ウラジスラフ・スルコフ

外部リンク

Official Website (Russian)
Official Blog in LiveJournal
Владимир Мединский - LiveJournal
Блог Владимира Мединского на сайте радиостанции «Эхо Москвы»
* Видеоблог Мединского

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