ウルグ・ベク・マドラサ

ウルグ・ベク・マドラサは、ティムール朝の第4代君主であるウルグ・ベク（1394年 - 1449年）によって、15世紀初頭にウズベキスタンの古都サマルカンドに建設されたマドラサ（イスラム教の神学校）です。

建設の背景

1417年、ウルグ・ベクはサマルカンドの中心地、現在のレギスタン広場にマドラサの建設を開始しました。このマドラサは1420年に完成し、当時の学術の中心地として重要な役割を担いました。レギスタン広場は14世紀後半には商業の中心地でしたが、ウルグ・ベクがマドラサやモスクを建設したことで、その様相は大きく変化しました。現在、レギスタン広場には3つのマドラサが建ち並び、壮観な景観を作り出しています。

ウルグ・ベクは学問を奨励した君主であり、マドラサ建設の他にも、1420年にはサマルカンド郊外にウルグ・ベク天文台を建設するなど、科学の発展にも貢献しました。この天文台は、当時の天文学において重要な観測拠点となりました。

ウルグ・ベク・マドラサの特徴

ウルグ・ベク・マドラサは、イスラム建築の傑作として知られています。壮大なイーワーン（アーチ型の門）を持ち、幾何学模様の装飾が施された美しい建築物です。マドラサは、神学だけでなく、数学や天文学などの様々な分野の研究が行われる場所でした。

著名な卒業生

ウルグ・ベク・マドラサで学んだ著名な人物として、アブドゥルラフマーン・ジャーミー（1414年 - 1492年）が挙げられます。ジャーミーは、ティムール朝を代表する15世紀の著名な詩人であり、ペルシア語で多くの著作活動を行いました。彼の作品は、当時の文学や思想に大きな影響を与え、現在でも高く評価されています。

現在のウルグ・ベク・マドラサ

現在、ウルグ・ベク・マドラサは、サマルカンドの重要な観光スポットの一つとなっており、多くの観光客が訪れます。その美しい建築と歴史的価値は、見る人々を魅了し続けています。レギスタン広場は、ユネスコの世界遺産にも登録されており、その歴史的・文化的価値が世界的に認められています。

ウルグ・ベク・マドラサは、単なる宗教施設ではなく、学術の中心地としての役割も担っていた点が重要です。ウルグ・ベクの学問に対する情熱は、マドラサの建設だけでなく、天文台の建設や学者たちの育成にも繋がりました。このマドラサは、ティムール朝の文化・科学の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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