ウーゴ・カサレス

ウーゴ・カサレス（Hugo Cázares）は、1978年3月24日にメキシコのシナロア州ロスモチスで生まれた、元プロボクサーです。本名はウーゴ・フィデル・カサレス・リナレス（Hugo Fidel Cázares Linares）。「驚嘆すべきもの」という意味を持つ“El Increible”というニックネームで知られ、世界2階級制覇という偉業を成し遂げました。

プロキャリアの幕開けと国内タイトル

カサレスがプロのリングに初めて上がったのは、1997年2月23日、21歳の時でした。このデビュー戦は判定ドローというスタートになります。キャリア序盤には、1999年4月2日にNABO北米スーパーフライ級王座に挑戦するも、初回でのTKO負けを喫し、タイトル獲得はなりませんでした。しかし、彼は着実に経験を積み、2000年8月19日にはフランシスコ・ガルシアを8回TKOで破り、メキシコライトフライ級王座を獲得。国内チャンピオンとしての地位を確立します。さらに、2002年3月22日にはラファエル・オロスコを6回KOで下し、NABO北米ライトフライ級王座も手中に収め、このタイトルを2度にわたり防衛しました。

WBO世界ライトフライ級王座獲得と激闘

カサレスのキャリアのハイライトの一つは、WBO世界ライトフライ級王座の獲得です。2005年4月30日、プエルトリコのネルソン・ディーバに挑み、10回負傷判定ながら勝利を収め、悲願の世界チャンピオンの座に就きました。この王座を5度にわたって堅守した後、2007年8月25日、ミニマム級から階級を上げてきたプエルトリコのイヴァン・カルデロンとの防衛戦を迎えます。この一戦は、カサレスにとって厳しいものとなり、1-2の僅差の判定で敗れ、王座から陥落しました。翌年2008年8月30日、カサレスはカルデロンとの再戦に挑みますが、7回に偶然のバッティングによりカルデロンが負傷し、ドクターストップ。規定により0-3の判定負けとなり、王座返り咲きは叶いませんでした。

2階級制覇へ、日本での激闘

ライトフライ級でのタイトルを失った後、カサレスはスーパーフライ級に戦いの場を移します。2009年3月24日には、WBAフェデラテンスーパーフライ級王座決定戦でロベルト・バスケスに大差の判定勝利を収め、地域タイトルを獲得しました。そして、彼にとって日本のリングが重要な舞台となります。2009年9月30日、大阪でWBA世界スーパーフライ級レギュラー王者、名城信男に挑戦。この一戦は、ジャッジの採点が割れる接戦となり、1-1のドロー。惜しくも世界タイトル奪取はなりませんでした。しかし、カサレスは諦めませんでした。2010年5月8日、再び大阪で名城とのダイレクトリマッチに臨みます。前回の雪辱を期すこの試合で、カサレスは優位に試合を進め、3-0の判定で勝利。見事WBA世界スーパーフライ級王座を獲得し、史上3人目となる日本での2階級制覇という快挙を達成しました。

WBA王座防衛とキャリア終盤

WBAスーパーフライ級王者となったカサレスは、エベラルド・モラレス、アルベルト・ロッセルらを相手に順調に防衛を重ねました。特にアルベルト・ロッセル戦では9回TKO勝利を収め、強さを見せつけます。スーパー王者ビック・ダルチニアンの王座返上を受け、カサレスは正規王者に認定されました。3度目の防衛戦では、日本の久高寛之を相手にフルラウンドの激闘を繰り広げ、判定勝利で王座を守りました。しかし、2011年8月31日、日本武道館で行われた5度目の防衛戦で日本の清水智信に挑戦を受け、1-2の判定で敗れ、王座を失います。世界タイトルを失った後も、カサレスはリングに上がり続け、2012年にはCABOFEスーパーバンタム級王座、2013年にはWBCインターナショナルスーパーバンタム級シルバー王座を獲得しました。キャリアの終盤、2014年4月4日にはイギリスでカール・フランプトンとWBC世界スーパーバンタム級指名挑戦者決定戦を行いますが、2回KO負けを喫し、再び世界挑戦の機会を得ることはできませんでした。

驚嘆すべきボクサー、ウーゴ・カサレスは、その長いキャリアを通じて数々の激戦を戦い抜き、ライトフライ級とスーパーフライ級で世界王座を獲得。特に日本においては、名城信男とのライバル関係や久高寛之、清水智信との防衛戦など、ファンに多くの記憶を残しました。

獲得した主なタイトル

メキシコライトフライ級王座
NABO北米ライトフライ級王座（防衛2）
WBO世界ライトフライ級王座（防衛5）
WBAフェデラテンスーパーフライ級王座
WBA世界スーパーフライ級王座（正規王座として防衛2）
CABOFEスーパーバンタム級王座
* WBCインターナショナルスーパーバンタム級シルバー王座（防衛1）

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