久高寛之

久高 寛之

1985年4月2日、大阪府大阪市大正区に生まれた久高寛之（ひさたか ひろゆき / くだか ひろゆき）は、日本の元プロボクサーである。大阪府立港高等学校を卒業後、プロの道へ進んだ。プロキャリアを通じて、初代WBCインターナショナルフライ級シルバー王者、および第40代日本スーパーフライ級王座を獲得している。所属ジムは、デビュー時のグリーンツダボクシングクラブから、2008年5月1日付で仲里・ATSUMIボクシングジムへ移籍。さらに2012年12月のジム分裂に伴い、仲里義竜ボクシングジムに籍を置いた。

リングネームについては、本名の姓の読みである「ひさたか」を長らく使用していたが、2017年8月の井上拓真戦からは、沖縄で一般的な読みである「くだか」に変更。現役引退後は再び本名の読みである「ひさたか」に戻して活動している。

来歴

プロとしてのキャリアは2002年9月15日に始まったが、デビュー戦は初回KO負けという結果に終わった。続く試合も判定で敗れ、プロのスタートは2連敗となった。しかし、2003年3月9日に行われた3戦目で、2回KO勝利を収め、待望のプロ初白星を飾る。

2004年には、西日本フライ級新人王決定戦で本田猛に判定勝ちし、西日本新人王のタイトルを獲得。この活躍が評価され、西日本新人王決定戦のMVPに選ばれた。勢いそのままに全日本新人王決定戦へと進出。同年11月には西軍代表決定戦で萬田千晴に判定勝ちを収め、西軍代表となる。12月19日には全日本フライ級新人王決定戦で東軍代表の佐藤常二郎に判定勝ちし、全日本フライ級新人王の座に就いた。この全日本新人王獲得時には、技能賞も受賞している。

新人王獲得後もキャリアを積み重ね、2005年10月には、後にWBA世界スーパーフライ級王者となる清水智信と対戦するも、判定で敗れた。同年12月にはWBA世界ライトフライ級7位のバート・バタワン（フィリピン）と対戦。2回に右ストレートでダウンを奪い、追撃の末にレフェリーストップによるTKO勝利を収める。このダウンシーンは、後にボクシング中継番組のオープニング映像に採用されるなど、鮮烈な印象を残した。

日本・世界王座への挑戦

国内トップ戦線での活躍を経て、2007年4月1日、日本フライ級暫定王座決定戦に臨んだが、吉田健司に判定で敗れ、王座獲得はならなかった。同年5月にはタイでWBC世界フライ級ユース王者で世界ランキング1位のパノムルンレック・クラティンデーンジムと対戦するが、これも判定負けを喫した。さらに同年8月にはフィリピンでウィンデル・ハニオラに僅差の判定で敗れるなど、世界を目指す上で苦戦が続いた。しかし、同年12月には元OPBF王者のフセイン・フセインに判定勝ちし、再起を果たした。

ジム移籍を経て、2008年7月30日、WBA世界フライ級王者坂田健史（協栄）に挑戦。自身初の世界タイトルマッチだったが、王者の牙城を崩せず、判定で敗れた。

2009年5月26日には、タイでWBA世界フライ級王者デンカオセーン・カオウィチット（タイ）に2度目の世界挑戦。前日計量での不透明な状況や、試合中の王者の度重なる反則行為、さらにはレフェリーの不可解な裁定など、波乱含みの展開となった。試合終盤には王者から減点もあり、久高も攻勢をかけたが、僅差の判定で敗れ、王座獲得はまたしても叶わなかった。

2010年5月4日、3度目の世界挑戦の足がかりとして、タイで日本未公認のWBCインターナショナルフライ級シルバー王座決定戦に出場。過去に敗れているパノムルンレックとの再戦となったこの試合で、8回に逆転TKO勝利を飾り、約3年越しのリベンジと共に王座を獲得した。

同年12月23日には、スーパーフライ級に階級を上げて4度目の世界挑戦。WBA世界スーパーフライ級王者ウーゴ・カサレス（メキシコ）に挑んだ。得意のカウンターで王者をぐらつかせる場面もあったが、全体的に手数の差や有効打で及ばず、判定で敗れ、スーパーフライ級での世界王座奪取も果たせなかった。

再起と国内戦線、そして日本王座獲得

度重なる世界挑戦の失敗を経て、久高は国内戦線で再起を図る。2012年4月、約1年4カ月ぶりのリング復帰戦をKO勝利で飾ると、同年7月には久田哲也にTKO勝ちを収めるなど、再び存在感を示した。しかし、同年11月には元世界王者オーレイドン・シスサマーチャイに判定で敗れた。ジム分裂を経て仲里義竜ボクシングジム所属となった後も、元世界王者のソニー・ボーイ・ハロに判定勝ちするなど、実力者との対戦を続けた。

2013年8月には、WBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス（アルゼンチン）に自身4度目となる世界挑戦。敵地での厳しい戦いとなり、10回TKO負けを喫し、またも世界の壁に阻まれた。

その後は国内での戦いが中心となり、2014年には松本亮、粉川拓也に連続で判定負けを喫するなど、キャリアの困難な時期も経験する。しかし、ベテランとしてリングに上がり続け、2015年には中山佳祐に判定勝ち。

2017年8月、井上尚弥の弟である井上拓真と対戦。この試合からリングネームを「くだか」に変更したが、判定負けとなった。同年12月には日本スーパーフライ級最強挑戦者決定戦で翁長吾央と対戦し、負傷引き分けながらも優勢点により挑戦権を獲得した。

そして2018年4月14日、前戦で引き分けた翁長吾央と日本スーパーフライ級王座決定戦で再戦。判定にもつれ込む激戦を制し、ついに日本スーパーフライ級王座を獲得した。しかし、同年8月に行われた初防衛戦で奥本貴之に敗れ、タイトルを失った。

王座陥落後も、再びタイトル挑戦を目指しリングに上がり続け、2019年には日本スーパーフライ級挑戦者決定戦でユータ松尾と引き分けるも、優勢点で挑戦権獲得はならなかった。2020年にはバンタム級での試合も経験し、勝利を収めている。

プロキャリアの終盤、日本スーパーフライ級ランキング1位まで浮上し、再び王座決定戦に臨む機会を得た。2022年4月23日、同級2位の中川健太との王座決定戦に挑んだが、大差の判定負け。この試合後、久高寛之は現役引退を表明した。

様々なジムを渡り歩き、複数階級で国内外の強豪と拳を交え、四度の世界挑戦と日本王座獲得という、波乱に満ちたボクシング人生に幕を下ろした。

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