ウード (アキテーヌ公)

アキテーヌ公ウード：激動の時代を生きた大公

アキテーヌ公ウード（Eudes d'Aquitaine, 650/60年 - 735年頃）は、7世紀から8世紀にかけてアキテーヌ公として活躍した人物です。その出自は定かではありませんが、ヴァスコニア公領およびアキテーヌ公領を支配し、その領土はロワール川からピレネー山脈にまで及びました。首都はトゥールーズに置かれ、「大公（le Grand）」とも呼ばれました。

出自の謎

ウードの出自については諸説あり、はっきりとしたことは分かっていません。ローマ人を先祖とする説や、同時代のフランク人がウードの父を「敵であるローマ人」と呼んでいたという説があります。また、ボギス、ベルトラン、ルプ1世など、彼を父とする様々な人物が挙げられていますが、いずれも確証はありません。

若きリーダーとして

711年、ウードは西ゴート王ロデリックと戦ったとされています。715年には、ガリアで起こった内乱の間に独立を宣言しましたが、王を名乗ることはありませんでした。718年には、ネウストリア王キルペリク2世と宮宰ラガンフリドとの同盟のため、バスク軍を招集し、アウストラシア宮宰カール・マルテルと戦いましたが、ソワソンでの敗北後、カールと和睦しました。

ウマイヤ朝とフランク王国との戦い

ウードは、自身の領土を侵略したウマイヤ朝およびフランク王国の軍と戦うことを余儀なくされました。721年、トゥールーズの戦いにおいて、ウマイヤ朝のアル＝サムフ・イブン・マーリク・アル＝ハウラニーに勝利し、キリスト教の英雄として教皇から称えられました。ウマイヤ朝との国境を保障するため、娘をウマイヤ朝のベルベル人領主ウスマン・イブン・ナイッサと結婚させました。

ガロンヌの戦い、トゥールの戦い、そして死

731年、カール・マルテルはアキテーヌに侵攻し、ウードとの和平を破棄しました。ウードはフランク軍と交戦し敗北しましたが、カール・マルテルはフランクへと戻りました。同年、ウマイヤ朝がウスマン・イブン・ナイッサを攻撃し、ウスマンは戦死、ウードの娘は捕虜となりました。732年、アブドゥル・ラフマーン・アル・ガーフィキーの軍がヴァスコニアを攻撃し、ボルドーを荒らしまわりました。ウードはウマイヤ軍と交戦し再び敗北、カール・マルテルに援軍を要請しました。見返りとして、ウードはフランクの支配下に入ることを受け入れ、トゥール・ポワティエ間の戦いにおいてフランク軍の左翼を形成し、ウマイヤ軍を破るのに貢献しました。

735年、ウードは退位または死去し、息子ウナールが跡を継ぎました。あるいは、740年以前に修道院で死去した可能性もあります。ウードはアキテーヌの人々から敬愛され、その人気は『パルドゥルフス伝』にも記されています。

アキテーヌ公ウードは、カロリング家との対立、アラブとの同盟、そしてトゥール・ポワティエ間の戦いにおける活躍など、激動の時代を生きた英雄として、その名を歴史に刻んでいます。

もう一度検索