エイミーストリート

エイミーストリートの概要

エイミーストリート（Amie Street）は、かつて存在したインディーズ音楽のオンラインストア兼ソーシャルネットワークサービスです。2006年に、ブラウン大学の学生3人によってロードアイランド州プロビデンスで設立されました。その後、ニューヨーク市クイーンズ区のロングアイランドシティに拠点を移転しました。

このサービスの特徴は、需要連動型の価格設定システムです。楽曲の人気度に応じて価格が変動する仕組みが導入され、アーティストとユーザー双方にとって魅力的なプラットフォームとなっていました。2010年後半にはAmazon.comに買収され、現在はサービスを終了しています。

歴史

エイミーストリートは2006年初頭に設立され、同年7月にはプレアルファ版が公開されました。TechCrunchの報道により、その存在が広く知られるようになりました。その後、CD BabyやThe Orchardなどのレーベルとの提携を深め、サービスを拡大していきました。アルファ版、ベータ版のリリースを経て、2007年には日本版のエイミーストリートジャパンも開設されました。

2007年8月には、サイトのリニューアルとAmazon.com主導のベンチャーキャピタルからの資金調達が発表されました。エンジェル投資家の中には、MP3.comの元社長やGoogleのディレクターなど著名な人物も含まれていました。

ウェブサイトの機能

エイミーストリートでは、アーティストがMP3形式で楽曲を直接アップロードできました。ビットレートは選択可能でしたが、レーベルがエンコードを依頼した場合は、平均256kbit/sの可変ビットレートが用いられました。ユーザーが楽曲を購入すると、アーティストには収益が分配される仕組みで、1曲あたり5ドルを超えると、収益の70%がアーティストに支払われました。アルバム価格は各曲の合計価格に基づいて算出され、大半は8.98ドルで販売されていました。アーティストへの支払いは、PayPal、ペイオニアプリペイドマスターカード、小切手などが利用可能でした。

楽曲の価格は、アップロード時には0から始まり、需要に応じて上昇していくシステムでした。価格の上限は98セントでした。また、2007年9月には着信メロディサービスも開始されました。

REC機能

エイミーストリートには、アーティスト以外にもユーザーが楽曲を「REC（推薦）」することで収益を得られる独自のシステムがありました。ユーザーが価値が上がると予想される楽曲をRECし、実際に価格が上昇した場合、その差額の半分を受け取ることができました。このシステムにより、ユーザーは楽曲の発掘と評価に参加し、プラットフォームの活性化に貢献しました。人気のある楽曲は頻繁にRECされ、より多くのユーザーに認知される仕組みでした。また、ユーザーはエイミーストリートのクレジットを購入することでRECを行うことができました。

ソーシャルネットワーク機能

エイミーストリートには、ユーザー同士が「友達」として繋がれるソーシャルネットワーク機能も搭載されていました。友達にRECを共有したり、バンドを「ファン」としてフォローしたりすることができました。これらの情報はRSS フィードとしても利用可能で、最新の音楽情報を入手することができました。

サードパーティー統合

エイミーストリートは、Facebookアプリ「Fantasy Record Label」も提供していました。Facebookユーザーは、楽曲のコレクションを「レコードレーベル」として作成し、エイミーストリートのアカウントと連携させることができました。レーベルのランキングやポイントシステムは、ユーザー間の競争を促し、楽しみながら音楽を発見する機会を提供しました。ただし、このアプリは現在停止されています。

有益なメディアキャンペーン

エイミーストリートは、チャリティー活動にも積極的でした。2008年7月には、「Download To Make A Difference」キャンペーンを実施し、ピーター・バフェットとエイコンのシングル曲「Anything」の無料ダウンロードごとに、2ドルをクリエイティブビジョン財団に寄付しました。また、インディーロックバンド「ザ・ウォークメン」のアルバムの独占プレ発売では、収益の全額をメモリアル・スローン・ケタリング・キャンサー・センターに寄付しました。

ロンリーガールフィフティーンとの提携

2007年には、人気Webドラマ「lonelygirl15」と提携し、番組内で使用された楽曲の販売を行いました。

アマゾンによる買収

2010年9月、エイミーストリートはAmazon.comに買収され、同年9月22日をもってサービスを終了しました。エイミーストリートのユーザーは、Amazon.comにリダイレクトされ、Amazon Musicで利用できる5ドル分のクレジットを受け取りました。

報道

エイミーストリートは、ローリングストーン、ウォール・ストリート・ジャーナル、ビジネスウィークなど、多くの著名なメディアで取り上げられました。その革新的なビジネスモデルとソーシャル機能は、多くの注目を集めました。

アシュリー・アレクサンドラ・デュプレの楽曲販売

2008年には、エリオット・スピッツァーとのスキャンダルで注目されたアシュリー・アレクサンドラ・デュプレの楽曲が販売され、さらに注目を集めました。彼女のシングル「Move Ya Body」は、サイトで最速で最高値に達する記録を作りました。彼女のダウンロード販売による収益は、様々なメディアで推定額が報道されました。

まとめ

エイミーストリートは、インディーズ音楽の新しい可能性を示したプラットフォームでした。需要連動型の価格設定や、ユーザー参加型のRECシステムなど、独自の仕組みは多くの音楽ファンに支持されました。Amazonによる買収という形で幕を閉じましたが、その革新的な取り組みは、現在の音楽ストリーミングサービスにも影響を与えていると言えるでしょう。

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