エクリプス級防護巡洋艦

エクリプス級巡洋艦：イギリス海軍の小型防護巡洋艦

エクリプス級巡洋艦は、19世紀末から20世紀初頭にかけてイギリス海軍が運用した防護巡洋艦です。同時期のイギリス海軍では二等防護巡洋艦に分類されていました。主な任務は、イギリスの広大な植民地と重要な通商路の保護でした。アストーレア級巡洋艦を大型化発展させた設計が採用されています。

艦型と設計

エクリプス級の艦型は、帆船時代のデザインの影響を色濃く残す、気品ある外見が特徴です。船体は長船首楼型で、艦首には衝角が装備され、その上に15.2cm速射砲が1門配置されていました。艦橋構造は、単脚式の前部マストと、両舷に張り出した船橋を持つ操舵艦橋から成り、司令塔がその上に位置していました。

船体中央部には2本の煙突が等間隔に配置され、その周囲は艦載艇置き場として使用されました。艦載艇の運用には、前部マストと後部マストに設置されたクレーン2基が用いられました。後部マストの後ろには後部艦橋があり、舷側には15.2cm速射砲が片舷1基ずつ、さらにその後ろに12cm速射砲が片舷3基ずつ配置されていました。後部甲板には15.2cm速射砲が2門並列配置されています。

この配置により、艦首方向に最大3門、舷側方向に最大6門（15.2cm砲3門、12cm砲3門）、艦尾方向に最大2門の15.2cm砲を指向することが可能でした。

主砲とその他の武装

エクリプス級の主砲は、1901年型Mark VII 15.2cm（45口径）砲でした。この砲は45.4kgの砲弾を最大仰角20度で13,350mまで発射でき、射程2,740mで51mmの舷側装甲を貫通する能力を有していました。砲身の操作、砲弾の揚弾と装填は主に人力で行われました。砲身の俯仰角は仰角20度、俯角7度で、旋回角度は甲板上の砲は300度、舷側配置の砲は160度でした。発射速度は1分間に5～7発と、当時としては高速でした。

対水雷艇用として、アームストロング7.6cm（40口径）単装速射砲を14基、近接戦闘用としてオチキス4.7cm（43口径）機砲を3基搭載していました。また、対艦攻撃用の45.7cm水中魚雷発射管を2基装備していました。

同型艦

エクリプス級巡洋艦の同型艦は、以下の通りです。

ダイアナ (Diana)
ダイドー (Dido)
ドーリス (Doris)
エクリプス (Eclipse)
アイシス (Isis)
ジュノー (Juno)
ミナーヴァ (Minerva)
トールポット (Talpot)
ヴィーナス (Venus)

参考資料

「世界の艦船増刊第46集　イギリス巡洋艦史」（海人社）
「Conway All The World's Fightingships 1860-1905」（Conway）
「Conway All The World's Fightingships 1906–1921」（Conway）
* 「Jane's Fighting Ships Of World War I」（Jane）

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