エジプト第7王朝

エジプト第7王朝の概要

エジプト第7王朝（紀元前22世紀頃）は、古代エジプトの歴史において古王国の時代の終焉と第1中間期の始まりを示す重要な王朝です。この時期、エジプトは分裂と混乱の時代を迎えており、その中央集権体制は失われつつありました。特に、第6王朝の王ペピ2世の長い治世が終わると、権力の空白とそれに伴う動乱が続きました。

歴史的背景

古王国の時代は第6王朝の崩壊によって終焉を迎え、その後のエジプトは混沌とした状況に入りました。歴史家マネトによると、第7王朝はメンフィスを中心にして存在し、その間に約70人の王が在位したと伝えられています。この記録は、王朝の混乱と権力の変遷を示していますが、実際に70人もの王がいたのかは疑問視されています。

また、エジプトの第19王朝時代に編纂されたアビドスの王名表には、第6王朝以降の王たちの名前が存在しますが、これも信憑性が低いことから注意が必要です。これらの王の名前は、ケンドゥやシェマイといった一般的でない名前が多く、貴族ではなく下層出身が多かったことを示唆しています。

初代のネフェルカラー1世は、第6王朝の王ペピ2世の王妃イブートのピラミッド複合体の倉庫に母を葬っており、このことからも当時の王権の脆弱さが伺えます。彼らの支配地はメンフィス周辺およびナイル川デルタの一部に過ぎなかったと考えられており、権力が事実上断片化していたことが窺えます。

第7王朝と第8王朝の関係

マネトの記録によると、第7王朝の統治の後、改めて第8王朝が結成されたということですが、第7王朝と第8王朝を厳密に区別することができるのか、またその内容や場合によっては第7王朝の存在自体が疑わしいとする見解も存在します。特に、マネトの記述はしばしば文学的修辞と見なされ、実際の歴史的事実とは異なる可能性が高いです。

歴代王とその評価

エジプト第7王朝の歴代王について、学術的に整理された王の一覧はまだ存在しません。入手可能な資料は限られており、アビドスの王名表に所載されている王の名前も完全ではありません。その中でも、トリノ王名表には第6王朝以降に在位した17名の王の名前が含まれていますが、前半11名が記載されていない点は謎とされています。この点が示すのは、編纂者がこれらの王を正統な支配者として認めなかった可能性です。

参考文献

• - ジャック・フィネガン著『考古学から見た古代オリエント史』
• - 屋形禎亮他著『世界の歴史1 人類の起原と古代オリエント』
• - A.J.スペンサー著『図説 大英博物館古代エジプト史』

このように、エジプト第7王朝の詳細な履歴や状況は謎に包まれており、その多くは今後の研究による解明が期待されます。

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