エディサン

エディサン（ウクライナ語: Єдисан）とは

エディサンは、現在のウクライナ南西部とモルドバ南東部（沿ドニエストル南部）にまたがる歴史的な地域名です。具体的には、黒海の北、ドニエストル川とドニプロ川の間に位置し、ブジャクとベッサラビアの東、ポジーリャとザポロージャの南、そしてタウリダの西に広がっていました。

歴史

中世

中世の頃、この地域にはウーリチ、ペチェネグ、そしてクマン人（ポロヴェツ）が居住していました。13世紀には、モンゴル帝国の侵略を受け、ジョチ・ウルス（金帳汗国）の支配下に入ります。

リトアニア大公国からクリミア・ハン国へ

15世紀になると、エディサンはリトアニア大公国の領土となり、「東の地」を意味するディークラと呼ばれるようになりました。その後、オスマン帝国の影響下にあるクリミア・ハン国の領域となります。

ノガイ・オルダの西遷とエディサンの誕生

1724年、中央アジアからクバン地方への移住を余儀なくされたノガイ・オルダの一部が、この地域に西遷し、「エディサン」という名が使われるようになりました。ただし、これ以前の歴史地図にエディサンの名が現れるのは正確ではありません。

エディサンはしばしばオスマン帝国のシリストラ州（エジ州）の一部とされ、ハジベイ要塞（現在のオデッサ）とエジ要塞（現在のオチャーキウ）が中心地となりました。この地は、オスマン帝国に隷属するノガイと、ロシアの支援を受けたザポロージャ・コサックの対立の場でもありました。

帝政ロシアの拡大

18世紀末、エカチェリーナ2世の治世下にあった帝政ロシアは、この地域への拡張を開始しました。露土戦争 (1768年)の結果、1774年には南ブーグ川以東のエディサンがロシアに併合されます。さらに、露土戦争 (1787年)がヤシ条約で終結したことで、ロシアの国境はドニプロ川まで進みました。この過程で、ノガイ人は激減し、この地を去って東へと散っていきました。

新ロシアの一部として

ロシア領有後の1794年には、オデッサが建設されました。エディサン地域は「新ロシア」の一部として、主にロシア人とウクライナ人を中心とする入植者が移り住み、民族ドイツ人も含まれていました。行政区画としてはヘルソン県に属しました。現在のウクライナにおいては、その一部がオデッサ州とムィコラーイウ州となっています。

参考文献

伊東孝之,井内敏夫,中井和夫 『ポーランド・ウクライナ・バルト史』 山川出版社, 1998.12.

外部リンク

Довідник з історії України

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