エディンバラ旧市街

エディンバラ旧市街は、スコットランドの首都エディンバラに位置する、ユネスコ世界遺産に登録された歴史地区です。中世の都市計画とスコットランド宗教改革時代の建造物が数多く現存しており、その歴史的・文化的価値は非常に高いと評価されています。

旧市街の中心は、エディンバラ城からホリールード寺院へと続くロイヤル・マイルです。実際にはキャッスルヒル、ローンマーケット、ハイストリート、カノンゲイトの4つの通りから構成され、これらの主要な通りから、数フィート幅しかない狭い小路（クロウゼス）が複雑に入り組んでいます。これらの小路は、ヘリンボーン模様の石畳が特徴的で、坂道が多いのが特徴です。

主要な公共建築物や市場は、比較的広い広場に面して建てられています。セント・ジャイルズ大聖堂やスコットランド最高裁判所などがその代表例です。また、スコットランド議会ビル、ホリールード宮殿、スコットランド教会ゼネラル・アッセンブリー・ホール、スコットランド・ロイヤル・ミュージアム、サージェオンズ・ホール、エディンバラ大学など、重要な建造物が旧市街に集中しています。さらに、数多くの地下道や地下室が存在し、過去の建設の様子を垣間見ることができます。

旧市街の都市計画は、北ヨーロッパの旧市街によく見られる特徴を示しています。特に、エディンバラは岩山の上にそびえるエディンバラ城の存在、そして死火山の名残である地形が、独特の景観を作り出しています。主要な通りは、この山の斜面を下るように配置されているため、非常に絵画的な都市景観となっています。

この独特の地形は、「クラグ・アンド・テイル」と呼ばれる地形で、後期氷期に形成されました。氷河によって削られた岩山と、その裾野に広がる緩やかな斜面が特徴です。しかし、火山性岩の堅い地層によって、地形は複雑なパターンを示しています。丘の上の堅固な岩山は、最初に都市が発展した場所であり、要塞化されてエディンバラ城となりました。その後、都市は城のある岩山から、南部の湿地帯と北方のノール湖に囲まれた平地へと徐々に広がっていきました。この地理的条件は、自然な防御力を備えた立地だったと言えます。

主要な道から居住区へのアクセスは、多くの門と市壁によって厳しく制限されていました。現在、市壁は断片的にしか残っていませんが、フロドゥン壁などがその名残となっています。斜面の狭さから空間的な制約が強かったため、初期の高層建築は限られた富裕層の住居でした。多階建ての建物が一般的になったのは16世紀以降です。18世紀には約8万人が居住していましたが、近代化が進むと一時的に4000人程度にまで減少しました。近年では約2万人が居住しています。

長い間、住民は市壁の外側に居住することを好まず、人口増加に伴い建物は高層化していきました。しかし、1824年の大火により多くの建物が破壊されました。その後、元の基礎の上に再建された建物は地盤の高さを変え、多くの地下通路や地下室が造られました。また、2002年にはカノンゲイト地区で火災が発生し、有名なコメディー・クラブ「ザ・ギルデッド・バルーン」やエディンバラ大学情報科学学部の一部が焼失しました。

エディンバラ旧市街は、世界遺産登録基準(2)「ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。」および(4)「人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。」を満たし、世界遺産に登録されました。

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