セント・ジャイルズ大聖堂

セント・ジャイルズ大聖堂：スコットランドの精神的象徴

セント・ジャイルズ大聖堂は、スコットランドの首都エディンバラのロイヤル・マイル沿いに位置する、スコットランド国教会の大聖堂です。エディンバラ高教会とも呼ばれ、その特徴的な冠塔は街の景観を彩るランドマークとなっています。約900年もの間、エディンバラにおける宗教の中心地として、また時には長老派教会の母教会として重要な役割を果たしてきました。2022年9月には、エリザベス女王の追悼礼拝が執り行われた場所としても知られています。

歴史的背景

17世紀の一時期、セント・ジャイルズ大聖堂は唯一の大聖堂としての地位を確立しました。当時、イングランドとスコットランドの王権による監督制が退けられ、セント・ジャイルズはスコットランド教会内で優勢な立場にありました。宗教改革以前、エディンバラはセント・アンドルーズ司教座に属していたため、大聖堂は存在しませんでした。しかし、宗教改革後、スコットランド教会には司教や司教区、大聖堂といった組織がなくなり、「大聖堂」という名称は形式的なものとなりました。

建築と特徴

セント・ジャイルズ大聖堂は、エディンバラ旧市街に位置する教区教会であり、毎週日曜日には複数の礼拝が行われます。建物は、中世に人気を博した身体障害者とハンセン病患者の守護聖人、聖アエギディウスに献堂されています。現存する最古の部分は、1124年から存在するとされる4本の中央柱です。1385年の火災で損傷した後、再建が行われ、現在の大聖堂の多くはこの時期に建てられたものです。15世紀には、ランタン塔が追加され、内陣天井が高くされました。

19世紀に大規模な改修が行われ、複数の教会を統合して一つの空間に再編されました。しかし、この改修は、教会の一部を解体するという結果も招きました。外観は、灰色の砂岩で覆われ、ゴシック様式の装飾が施されています。内部には、19世紀と20世紀に制作された美しいステンドグラス窓があり、特にヴィクトリア窓、バーン＝ジョーンズ窓、北窓、バーンズ窓が有名です。

シッスル礼拝堂

1911年に建築家ロバート・ロリマーによって作られたシッスル礼拝堂は、スコットランド第一の勲位であるシッスル騎士団の礼拝堂です。小さくも精巧な礼拝堂は、驚くほど細部まで彫刻と装飾が施されています。騎士団は、君主と16人の騎士で構成され、国家や国際情勢に貢献したスコットランド人が選ばれます。

観光名所として

セント・ジャイルズ大聖堂は、その壮大さとロケーション、そして数多くの記念碑や記念物によって、人気の観光地となっています。特に、ロイヤル・マイルで開催されるエディンバラ・フェスティバル期間中は多くの人々が訪れます。大聖堂には、モントローズ侯爵ジェイムズ・グラハムや初代アーガイル侯アーチボルド・キャンベル、小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンらが埋葬されています。また、プロテスタント改革者ジョン・ノックスも教会の庭に埋葬されています。

セント・ジャイルズ大聖堂は、スコットランドの歴史と文化を象徴する場所であり、訪れる人々に深い感銘を与え続けています。

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