エド・ロイルバック

エドワード・マービン・ロイルバック：剛腕投手、その軌跡

エドワード・マービン・ロイルバック（Edward Marvin Reulbach、1882年12月1日 - 1961年7月17日）は、20世紀初頭にメジャーリーグで活躍した伝説的な投手です。ミシガン州デトロイトで生まれ、その右腕から繰り出される剛速球と鋭いカーブで、数々の記録を打ち立てました。

プロ入り前夜

18歳でノートルダム大学に入学したロイルバックは、その才能を早くから開花させていました。大学在学中には、偽名を使ってマイナーリーグでプレーしていたという逸話も残っています。1904年には大学の奪三振記録を塗り替え、その名を轟かせました。その後、バーモント大学の医学課程に進みますが、野球への情熱は消えることなく、1905年、シカゴ・カブスからのオファーを受け、プロの世界へ飛び込みます。

カブス黄金時代を支えた剛腕

1905年5月16日、ロイルバックはニューヨーク・ジャイアンツ戦でメジャーデビューを果たします。初戦こそ敗れたものの、その実力はすぐに証明されます。1年目から18勝を挙げ、防御率1.42という驚異的な数字を残しました。その後も、1909年までほぼ防御率1点台で投げ続け、リーグ屈指の難攻不落の投手として名を馳せます。高く足を上げる独特な投球フォームから繰り出されるカーブは、まさに魔球でした。

カブスがリーグ3連覇を達成した1906年から1908年にかけて、ロイルバックは連勝記録や連続イニング無失点記録を次々と塗り替えます。1906年から1907年にかけては、当時のメジャーリーグ記録となる17連勝を達成。1908年には44イニング連続無失点というナショナルリーグ記録を樹立しました。同年9月26日には、ダブルヘッダー2試合連続完封というメジャーリーグ史上唯一の快挙も成し遂げています。また、ワールドシリーズでも1906年と1907年に勝利投手となっています。

しかし、当時のカブスにはモーデカイ・ブラウンなどの名投手がひしめき合っており、またライバルチームにはクリスティ・マシューソンという大投手がいたため、ロイルバックが最多勝利や最優秀防御率のタイトルを獲得することはできませんでした。

苦難と移籍、そして引退

1910年、ロイルバックの快進撃は終わりを迎えます。防御率は初めて3点台となり、病気がちの息子を看病するためにチームを離れることもありました。1913年にはブルックリンへトレードされ、その後、フェデラル・リーグのニューアークでプレーしました。1915年には21勝を挙げる活躍を見せますが、翌年、ボストン・ブレーブスに移籍し、1917年に引退しました。

実は、ロイルバックは左目の視力が弱く、遠近感がとりにくかったにもかかわらず、その事実を誰にも明かさずにプレーしていました。

引退後の人生

引退後、ロイルバックは孤独な生活を送りました。1931年には息子を亡くし、その後は野球に関する考察を深めました。1945年には「野球におけるリーダーシップ育成計画」という著書を出版しています。1961年、ニューヨークでその生涯を閉じました。

その功績と記録

エドワード・マービン・ロイルバックは、その卓越した投球術と数々の記録によって、メジャーリーグ史に名を刻んだ名投手です。

ワールドシリーズ出場：4回（1906-1908, 1910年）
通算防御率：2.28（歴代9位：投球回2000イニングス以上対象）
メジャーリーグ史上唯一、ダブルヘッダー2試合連続完封

彼の残した記録と功績は、今もなお語り継がれています。

投手成績

(数字の後の""は、記録不明箇所があることを示す)

打撃成績

* 通算成績：401試合、862打数127安打、本塁打1、打点52、打率.147

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