エバンストン (イリノイ州)

イリノイ州の学園都市、エバンストン

エバンストンは、イリノイ州クック郡に位置する都市で、シカゴのすぐ北、ミシガン湖に面しています。2020年の国勢調査によると、人口は約7万8千人。ノースウェスタン大学があることで知られる学園都市であり、歴史的な背景と多様な文化が魅力です。

歴史

1830年代、この地域は「グロスポイント領土」と呼ばれていました。1836年にアメリカ人が入植し始め、1850年には「リッジビル」という名で呼ばれていました。1851年、メソジスト教徒の団体がノースウェスタン大学を設立し、この地を拠点としました。1854年、大学設立者たちは指導者の一人、ジョン・エバンスにちなんで「エバンストン」と名付ける都市計画を提出。1857年に正式に認可されました。

1863年に町として編入されたエバンストンですが、1869年に市制を目指して町制を辞退。その後、ノースエバンストンなどの村を併合して市域を拡大しました。1892年にはサウスエバンストンを併合し、住民投票で市として組織されました。この時点で、ほぼ現在の市域が確定しました。

19世紀末から20世紀初頭にかけて、エバンストンとウィルメットの間にあった「ノーマンズ・ランド」という未編入地域を巡り論争がありました。最終的にウィルメットに組み込まれましたが、俳優のチャールトン・ヘストンはこの地で生まれたと自叙伝で述べています。1939年には、ノースウェスタン大学の体育館でNCAA男子バスケットボール選手権大会の決勝が行われました。

第二次世界大戦後、エバンストンはシカゴへの通勤圏として高級住宅街へと発展を遂げます。シカゴ・Lと呼ばれる電車やレイクショア沿いの高速道路の整備により、富裕層の人口が増加しました。1954年には、世界教会協議会第2回大会が開催され、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領が代表団と国連事務総長を出迎えました。

文化と社会

エバンストンには、ノースウェスタン大学をはじめとする教育機関、アルファ・ファイなどの友愛会、国際ロータリークラブなどがあります。また、玩具のティンカートーイの発祥地であり、アイスクリーム・サンデーの発祥地であるという伝説もあります。

1858年から1972年まで、エバンストンでは酒類の販売や提供が禁止されていましたが、1972年にレストランやホテルでの提供が許可され、1984年には小売も認められました。

地理

エバンストンは北緯42度2分47秒、西経87度41分41秒に位置し、標高は約180メートルです。市域面積は20.1平方キロメートルで、ほとんどが陸地です。

人口動態

2000年の国勢調査に基づくと、エバンストンは多様な人種と民族で構成されています。

市政と政策

エバンストンの市政は、市長と9つの選挙区から選出される市会議員で構成されています。民主党の支持基盤が強く、革新的な政策が実施されることもあります。2021年には、過去の住宅差別に対する賠償計画が承認されました。

エバンストンのニックネーム

エバンストンは、設立当初はメソジストの影響力が強かったため「ヘブンストン」と呼ばれていました。20世紀初頭には「教会の都市」、1920年代には「家屋の都市」とも呼ばれました。近年では、革新的な政策から「エバンストン人民共和国」と呼ばれることもあります。

教育

エバンストンには、エバンストン・タウンシップ高校などの公立学校や、ロイスモア学校などの私立学校があります。また、近隣の市にあるカトリック系高校にも多くの学生が通っています。

交通

エバンストンの発展は鉄道の開通と密接に関わっています。シカゴ交通局のパープルライン、メトラのユニオン・パシフィック/ノース線が市内を通っており、シカゴへのアクセスが容易です。また、バス路線やカーシェアリングシステムも整備されています。

商業地区

エバンストンには、中心街、セントラルストリート、デンプスターストリートなど、様々な商業地区があります。専門店やレストランが多く、地元の人々や観光客に利用されています。

医療

エバンストンには、エバンストン病院とセントフランシス病院の2つの総合病院があります。

議論

エバンストンでは、ノースウェスタン大学の税制上の地位や、高層ビル開発、低所得層向け住宅の不足などが議論されています。大学は固定資産税を免除されていますが、その代わりに市に消防車を購入するなど、地域社会に貢献しています。

メディア

エバンストンには、ノースウェスタン大学の学生新聞、オンライン新聞、週刊新聞、隔週新聞など、様々なメディアがあります。また、地域住民のブログもあります。

エバンストン出身の著名人

エバンストンは、レスター・クラウン（実業家）、チャールトン・ヘストン（俳優）、フレディ・リンドストロム（野球選手）、ジョージ・ワイルドマン・ボール（政治家）など、多くの著名人を輩出しています。

大衆文化の中のエバンストン

映画「普通の人々」や「デニス・ザ・メナス」など、多くの映画やテレビ番組でエバンストンが舞台となっています。

持続可能性の進歩

エバンストンは、環境に配慮した都市づくりに取り組んでいます。地球温暖化防止計画や緑化ビル条令など、様々な取り組みが行われています。また、ノースウェスタン大学の施設も環境性能評価システムの認証を受けています。

見どころ

フランシス・ウィラードの家、グロスポイント灯台、ラッド樹木園、トラシュモア山、ノースウェスタン大学など、エバンストンには多くの見どころがあります。

まとめ

エバンストンは、歴史、文化、教育、自然が調和した魅力的な都市です。シカゴへのアクセスも良く、住みやすい街として知られています。革新的な政策や環境への取り組みなど、多様な側面を持つエバンストンは、今後も発展を続けることでしょう。

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