エムツー (ゲーム会社)

有限会社エムツー

千葉県我孫子市に本社を構える有限会社エムツーは、コンピュータゲームソフトウェアの開発・制作を主な事業とする日本の企業です。特に、往年の名作ゲームを現代のゲーム機向けに高い品質で移植・復刻する技術力で、ゲームファンから厚い信頼を得ています。

社名について

会社設立当時、商業登記法においてアルファベットでの登記が認められていなかったため、正式な社名は「エムツー」となっています。2002年の法改正以降も表記は変更されておらず、公式ウェブサイトやSNSでも一貫して「エムツー」が使用されています。

経営理念

エムツーは「面白さ至上主義」を経営理念に掲げています。ゲーム制作を通じて「面白いとは何か？」を深く追求し、常に変化し続けるエンターテインメントの世界で、人々の生活を豊かにする娯楽を提供することを目指しています。

事業内容

レトロゲームの移植・復刻

エムツーの活動は、1993年のメガドライブ版『ガントレット』の移植開発に始まり、現在に至るまでレトロゲームの移植を継続的に行っています。初期はオリジナルプログラムを他機種向けに書き直す「リプログラミング」による移植が中心でしたが、近年はエミュレーション技術を活用した作品も多く手掛けています。

これまでに数多くの国内外の大手ゲームメーカーのタイトルを手掛けており、特にセガとは非常に強固な関係を築いています。PlayStation 2の「セガエイジス2500シリーズ」後半から始まり、ニンテンドー3DSの『セガ3D復刻プロジェクト』、Nintendo Switchの『SEGA AGES』といったセガの復刻シリーズ開発を長年にわたり担当しています。また、2019年にセガがリリースした復刻系ゲーム機「メガドライブ ミニ」に収録されたメガドライブ用ソフト42作品全ての移植も担当しました。

セガ以外にも、コナミ（『ツインビー ポータブル』、『沙羅曼蛇 ポータブル』、『PCエンジン mini』など）、ナムコ（『ナムコミュージアムDS』）、タイトー（『ダライアス コズミックコレクション』など）といった他社作品の移植実績も豊富です。

アレンジ・リメイク作品

移植の枠を超えた、オリジナルの要素を加えたアレンジや、ゲームを再構築したリメイク作品も手掛けています。PlayStation 2版『ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』に収録された『SYSTEM16版ファンタジーゾーンII』のアレンジや、『グラディウス リバース』、『魂斗羅 ReBirth』、『ドラキュラ伝説 ReBirth』といったReBirthシリーズなどが代表例です。

オリジナルタイトルの開発

移植開発が中心ですが、少数ながら非移植のオリジナルタイトルも開発しています。『デ・ジ・キャラット でじこミュニケーション』などの他社IP作品や、2013年には初の自社オリジナルIPタイトルとなる『アホ毛ちゃんばら』をリリースしました。近年では、開発したミドルウェア「E-mote」を用いたオリジナルノベルゲーム『Tokyo School Life』をNintendo SwitchおよびPC向けに展開しています。

知的財産権の保有

かつて存在したゲームメーカー「コンパイル」が遺した知的財産のうち、『武者アレスタ』を除く「アレスタ」シリーズの版権を保有しています。さらに、2023年には株式会社ライトウェイトから、同社が保有していたPCエンジン用ソフトウェア全ての権利を譲渡されました。

パブリッシング事業

2016年には自社でのパブリッシング事業への参入を発表しました。主に過去のアーケードシューティングゲームを主軸とした「M2ショットトリガーズ」シリーズを立ち上げ、第一弾として『バトルガレッガ Rev.2016』をリリースして以降、積極的に作品を展開しています。

ミドルウェア開発

ゲーム開発で培った技術を活かし、マルチプラットフォーム対応の2Dアニメーション技術「E-mote（エモート）」を開発・提供しています。これは2Dイラストを滑らかに立体的に動かすことを可能にし、他社製品にも導入されています。

沿革

• - 1991年8月: 創業。千葉県我孫子市にて活動を開始。
• - 1993年9月: X68000版『ガントレット』の移植経験を基に、メガドライブ版『ガントレット』を開発・発売。
• - 1998年9月: 人員を拡充し、企業体としての本格的な活動を開始。
• - 2013年1月: 本社を千葉県我孫子市天王台に移転。
• - 2013年3月: 「E-mote」のライセンス提供を開始。
• - 2016年9月: パブリッシャー化を表明。
• - 2016年12月: 自社パブリッシング第一弾「M2ショットトリガーズ」シリーズを開始。
• - 2023年7月: ライトウェイトよりPCエンジン全ソフトの権利譲渡を受けたことを発表。

主な関係者

代表取締役の堀井直樹氏をはじめ、元トレジャーの井内ひろし氏（『レイディアントシルバーガン』、『斑鳩』など）、元T&E SOFTの内藤時浩氏（『ハイドライドシリーズ』など）といった著名な開発者たちが所属しています。また、元ケイブの田中周幸氏やヒバナヨケル氏なども在籍しています。過去には作曲家の並木学氏や、ゲームショップBEEP出身の駒林貴行氏なども所属していました。セガの奥成洋輔氏のように、セガエイジスシリーズなどを通じてエムツーと深く関わっている人物も存在します。

作品

移植作品、アレンジ・リメイク作品、オリジナル作品、そして自社パブリッシングブランド「M2ショットトリガーズ」シリーズとして多数のタイトルをリリースしています。また、『達人王』、『アウトゾーン』、『アレスタブランチ（仮称）』など、今後の展開が期待される未発表タイトルも複数アナウンスされています。

もう一度検索