エリック・ロサ

エリック・ロサ（Erick Rosa、2000年 3月18日 - ）は、ドミニカ共和国のプロボクサー。サントドミンゴ出身。

驚異的なスピードで世界の頂点に駆け上がり、無敗のままミニマム級、そしてライトフライ級の2階級で世界王座を獲得した。そのキャリアの速さはボクシング史上でも特筆すべきものであり、ドミニカ共和国ボクシング史に新たな金字塔を打ち立てている。

来歴

ミニマム級

2000年生まれのロサは、2020年10月24日に故郷サントドミンゴでプロキャリアをスタートさせた。デビュー戦はオスカル・ベルムデス・サラスを相手に、WBAフェデラテンおよびWBCラテンアメリカミニマム級王座を懸けて争われた。10回にわたる判定の結果、3-0のフルマークに近いスコアで勝利し、いきなり2つの地域タイトルを獲得した。

続く2戦目、3戦目も同じ会場で、バイロン・カステレオン、ケニー・カノを相手に防衛戦を行い、いずれも勝利。特に3戦目のカノ戦では、3回1分41秒でキャリア初のノックアウト勝ちを収め、そのパンチ力も証明した。

プロ4戦目となる2021年7月21日、ロサは異例の速さで世界挑戦の機会を得る。サントドミンゴで行われたWBA世界ミニマム級暫定王座決定戦で、ランキング5位のリカルド・アツピリカと対戦。12回を戦い抜き、3-0の判定勝ちを収め、デビューからわずか9ヶ月足らずでの世界王座獲得を果たした。

この勝利は、センサク・ムアンスリンに次ぐボクシング史上2番目の速さ（プロ4戦目）での世界王座獲得という快挙であり、ドミニカ共和国のボクサーとしては最速記録を更新した。また、2000年代生まれの選手として、世界主要団体の王座獲得一番乗りとなった。

2021年8月、WBAが暫定王座を廃止したことにより、ロサは指名挑戦権を獲得。同年12月21日には、サントドミンゴでWBA世界ミニマム級レギュラー王者のビック・サルダールに挑戦した。フルラウンドの激闘の末、2-1の僅差判定で勝利し、WBA世界ミニマム級レギュラー王座を獲得。自身が保持していたドミニカ共和国プロボクサー史上最速の世界王座獲得記録を、改めてプロ4戦目という形で塗り替えた。

その後、WBAスーパー王者のノックアウト・CPフレッシュマートとの団体内王座統一戦が計画されたが、実現には多くの困難が伴った。入札で興行権が争われ、タイでの開催が予定されるも、ロサのパスポート有効期限の問題で入国ができず試合が中止。再度入札が行われ、第三国開催を条件にロサ陣営のプロモーターが落札したが、興行の都合などで統一戦の開催は流動的となった。

統一戦が不透明な状況が続く中、ロサは2023年8月25日に約1年8ヶ月ぶりの試合として、ノンタイトル戦でオルランド・ピノと対戦。8回終了TKOで勝利し、実戦から離れていたブランクを感じさせない動きを見せた。

最終的に、スーパー王者との統一戦の目処が立たない状況を受け、ロサはミニマム級での活動に見切りをつけ、2024年1月15日に保持していたWBA世界ミニマム級レギュラー王座を返上。ライトフライ級への転向を表明した。

ライトフライ級

ライトフライ級転向初戦は2024年4月5日、再びサントドミンゴが舞台となった。IBF世界ミニマム級10位のユデル・レイエスを相手に、WBAゴールドライトフライ級王座決定戦に臨む。12ラウンドに及ぶ戦いを、大差の判定で勝利し、転向初戦で新たなタイトルを獲得した。

そして2024年12月19日、ロサは自身2階級目の世界王座を懸けてリングに上がる。サントドミンゴで行われた、前王者寺地拳四朗の返上により空位となっていたWBA世界ライトフライ級王座決定戦で、ランキング3位のネイダー・バルデスと対戦。ここでもフルラウンドの末、3-0の判定で勝利し、WBA世界ライトフライ級王座を獲得した。

この勝利により、ロサはプロキャリアわずか8戦目で世界2階級制覇を達成。これはドミニカ共和国のプロボクサーとしてはホアン・グズマン、ハビエル・フォルトゥナに次いで史上3人目の快挙であり、ミニマム級王座返上からわずか11ヶ月という、同国ボクサーとしては最速のペースでの2階級制覇となった。

無敗のまま2階級制覇を成し遂げたロサは、2025年7月30日には日本の横浜BUNTAIで、日本のリングに初登場することが発表されている。日本ライトフライ級王者であり、自身と同じく無敗の高見享介を相手に、WBA世界ライトフライ級王座の初防衛戦に臨む予定だ。

戦績

プロボクシング：8戦 8勝 (2KO)無敗

獲得タイトル

WBAフェデラテンミニマム級王座
WBCラテンアメリカミニマム級王座
WBA世界ミニマム級暫定王座
WBA世界ミニマム級レギュラー王座
WBAライトフライ級ゴールド王座
WBA世界ライトフライ級王座

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