エルストン・ハワード

エルストン・ジーン・ハワード

エルストン・ジーン・ハワード（Elston Gene Howard、1929年2月23日 - 1980年12月24日）は、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイス出身のプロ野球選手で、捕手として特に知られています。彼は投打ともに右利きで、アメリカンリーグでのキャリアを通じて数々の記録と業績を残しました。

初期の人生とニグロリーグ時代

ハワードは1929年にセントルイスで生まれ、幼少期には両親が離婚し、母方で育てられました。彼はセントルイスのヴァシュオン高等学校に進学。その後、1948年にニグロ・リーグの名門であるカンザスシティ・モナークスと契約し、プロ野球選手としてのキャリアをスタートしました。モナークスでは外野手として成長し、その際には後に名選手となるアーニー・バンクスとルームメイトでもありました。

マイナーリーグ時代

1950年、ハワードはニューヨーク・ヤンキースにスカウトされ、契約を結びました。しかし、彼は1951年から1952年まで陸軍に従軍し、現役を一時中断します。1953年に復帰後、捕手にコンバートされ、マイナーリーグでの経験を積みました。特に、AAA級の試合では捕手としての技術を磨くことができました。

ヤンキース時代

1955年、ハワードはメジャーデビューを果たし、ヤンキース初のアフリカ系アメリカ人選手となります。デビューシーズンでは97試合に出場し、打率.290、10本塁打、43打点という成績を収めました。しかし、当時はヨギ・ベラやミッキー・マントルといったレジェンド選手たちが居たため、彼は控え選手としての出場が多く、ポジションの確保に苦労していました。

1960年代に入ると、ハワードはベラから正捕手の座を引き継ぐようになり、さまざまな試合に出場。1963年には自身のキャリアベストとなる成績を残し、打率.287、28本塁打、85打点をマーク。アメリカンリーグのMVPにも選ばれ、ゴールドグラブ賞も受賞しました。オールスターゲームには1957年から9年連続で選出され、スタープレイヤーの仲間入りを果たしました。

ボストン・レッドソックスと引退

1967年、ハワードは年齢とともに衰えが見え始め、ボストン・レッドソックスにトレードされました。移籍後は苦しいシーズンを迎えたものの、同年のワールドシリーズでは本塁打を打つなど、最後の輝きを見せました。1968年シーズンの終了をもって現役を引退しました。

引退後の活動

引退後は古巣のヤンキースで一塁ベースコーチやベンチコーチを務めました。特に、1977年の対レッドソックス戦でのビリー・マーチン監督とレジー・ジャクソンの選手交代を巡る騒動では、ハワードが仲裁に入るなど、その存在感を示しました。しかし、晩年は心臓病に悩まされ、1980年にニューヨークの病院で死去しました。享年51歳でした。

ハワードの死後、ヤンキースは1981年シーズンを通じて彼の喪章を身に付け、1984年には彼の背番号『32』を永久欠番にすることを決定しました。

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