エルティシ川

エルティシ川について

エルティシ川は、アジアの主要な河川のひとつで、オビ川の重要な支流として知られています。その長さは4,248 kmに及び、流域面積は約1,643,000 km²となっています。この川は中国のアルタイ山脈南西斜面が源流であり、ジュンガル盆地を経て、カザフスタンやロシアの地域を流れる特徴があります。

地理と流れ

エルティシ川は、まずウルングル湖の近くから流れ出し、次第に北西へ進みます。カザフスタンのザイサン湖を経由し、最終的にはシベリアのハンティ・マンシースク近辺でオビ川に合流します。この流域には、カザフスタンのオスケメン、セメイ、パヴロダル、さらにはロシアのオムスクやトボリスクといった大きな都市が位置しており、交通や経済の重要な役割を果たしています。また、オムスクではエルティシ川の地下を通る地下鉄が建設中で、今後の利便性が期待されています。

川の流れは季節により変化し、11月から4月の間は凍結しますが、他の季節は河川交通が活発に行われています。このため、エルティシ川は地域の人々にとって重要な交通路となっています。

歴史的背景

エルティシ川流域の歴史を振り返ると、16世紀までこの地域は中国やモンゴル、カルムイクの影響下にありました。この時期、特にシビル・ハン国がエルティシ川流域を支配していましたが、後にロシアに征服され、19世紀初頭にはほとんどの地域がロシア領となりました。

1945年には、ソ連軍の動きによって日本企業が建設した水豊ダムの発電設備が略奪されました。この発電所はエルティシ川の流域に位置しており、地域のエネルギー供給にも影響を与えました。

利用と水資源管理

エルティシ川は水資源としても重要で、特にオムスクには国営エルティシ河運会社が本部を構え、河川港が発展しています。また、カザフスタンと中国の国境近くには大規模な水力発電所があり、エルティシ川の水がこれらの発電所で利用されています。

さらに、ソ連時代には大規模な自然改造計画が立案され、エルティシ川の水を利活用してアラル海を潤す構想がありましたが、最終的にはエルティシ・カラガンダ運河のみが完成しました。この運河はカザフスタンの乾燥地帯に水を供給する役割を果たしています。

中国は1997年にエルティシ川の上流に運河を建設し、自国の灌漑用水を確保する施策を進めました。このプロジェクトは下流のカザフスタンに影響を及ぼす懸念があり、両国間で水資源管理の調整が必要とされています。

結論

エルティシ川は、ただの水路ではなく、歴史的背景、地理的特徴、そして利水の面で多くの価値を持つ重要な河川です。流域の人々の生活や経済に大きく寄与し続けており、今後も地域間の調整や資源管理が課題となることでしょう。

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