エルバジェ (競走馬)

エルバジェ：フランスダービー王者から偉大な種牡馬へ

エルバジェ (Herbager, 1956年 - 1976年) は、フランスを代表するサラブレッド競走馬であり、種牡馬としても大きな成功を収めた名馬です。華々しい競走馬時代の活躍と、数々の優秀な産駒を残した種牡馬時代、そしてその生涯にわたる功績を紐解いていきましょう。

競走馬時代：フランスダービー制覇と輝かしい活躍

2歳時には2戦1勝とまずまずの成績でしたが、仏グランクリテリウムでは5着に終わりました。しかし、3歳シーズンは驚異的な活躍を見せます。グレフュール賞、オカール賞と立て続けに勝利し、勢いそのままに挑んだジョッケクルブ賞（フランスダービー）では1番人気に応え、見事優勝を飾りました。これは、同世代の頂点に立ったことを意味する偉業です。

3歳シーズンを終えると、エルバジェは古馬混合戦にも挑戦。サンクルー大賞ではイギリスからの強豪を相手に勝利し、続くプランスドランジェ賞も制覇するなど、連勝街道を突き進みました。そして、フランス競馬最大の祭典である凱旋門賞に挑戦しますが、競走中に故障、10着に終わってしまいます。このレースを最後に、惜しまれつつも競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。タイムフォーム誌によるフリーハンデキャップでは、136ポンドという高い評価を受けています。

種牡馬時代：フランスとアメリカで成功を収める

1960年、エルバジェは種牡馬としての道を歩み始めます。フランスで種牡馬生活を送った後、1964年には70万ドルという高額でアメリカの生産者ブル・ハンコックに売却され、ケンタッキー州のクレイボーンファームへと移籍しました。

エルバジェは、フランスとアメリカ、両国で数多くのステークス競走勝ち馬を輩出しました。特にアメリカ時代には、生涯で64頭ものステークス競走勝ち馬を送り出すという驚異的な成功を収めています。

フランス時代には、グレイドーン (Grey Dawn) とシーホーク (Sea Hawk) が代表的な産駒として挙げられます。グレイドーンはモルニ賞、シーホークはサンクルー大賞など、それぞれ2歳時から活躍し、大きな成果をあげました。グレイドーンはアメリカ、シーホークは日本で種牡馬として成功し、エルバジェの血統は世界中に広がっていきました。

デルビーイタリアーノを制したアッピアーニ (Appiani II) もエルバジェの産駒です。アッピアーニは種牡馬としても成功し、1975年の凱旋門賞優勝馬スターアピール (Star Appeal) を輩出しました。アメリカでは、1977年の最優秀3歳牝馬アワミムス (Our Mims) や、トラヴァーズステークスを制したラウド (Loud) など、数々の名馬を生み出しました。また、種牡馬として成功したビッグスプルーシュ (Big Spruce) は、エルバジェの系統樹をさらに発展させました。

1976年、20歳でクレイボーンファームにてエルバジェは生涯を終えます。その遺骸は、マーチモントファームの墓地区画に埋葬されています。

エルバジェの評価：競走馬と種牡馬、両面での偉大な功績

エルバジェは、競走馬としてはフランスダービーを制覇し、古馬相手に勝利を収めるなど、その能力の高さを証明しました。そして種牡馬としては、フランスとアメリカで活躍する数多くの名馬を輩出し、現代競馬に大きな影響を与えました。その功績は、現在も多くのサラブレッドの血統に受け継がれ、語り継がれています。エルバジェは、まさにフランス競馬史、そして世界競馬史に名を刻んだ偉大なサラブレッドと言えるでしょう。

主な勝鞍

1958年: 2戦1勝
1959年: 6戦5勝 (ジョッケクルブ賞、グレフュール賞、サンクルー大賞、オカール賞)

※当時はグループ制未導入

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