エル・シコデリコ

エル・シコデリコ (El Sicodélico) の生涯とキャリア

エル・シコデリコ、本名パブロ・ロドリゲス・アレジャーノは、1944年4月4日にメキシコで生まれた元プロレスラーです。彼は、レスリングの世界で影響力を持つ兄、ミル・マスカラスや弟、ドス・カラスと密接な関係にあり、共にプロレス界の巨星として名を馳せました。シコデリコは、主にリンピオという覆面レスラーとして活動し、キャリアの晩年はルードへと転向しました。また、彼は二人の息子、イホ・デル・シコデリコとシコデリコ・ジュニアもプロレスラーとして育てました。

来歴

シコデリコのプロレスラーとしての道は、兄アーロン・ロドリゲスの影響から始まりました。彼は若い頃からボディビルに熱心に取り組み、ディアブロ・ベラスコのジムでトレーニングを重ねました。1968年、ハリスコ州グアダラハラでプロレスデビューを果たし、ヘビー級のパワーファイターとして知られるようになりました。特にアルゼンチン・バックブリーカーを得意技として駆使し、強力なパフォーマンスを展開しました。

1971年、シコデリコはアメリカ西海岸のロサンゼルスに進出し、兄ミル・マスカラスと共にNWAアメリカス・タッグ王座を目指しました。この兄弟コンビは、キンジ渋谷とマサ斎藤に挑戦し、マスカラスの宿敵であったジョン・トロスとも対戦しました。しかし、日本プロレスにも来日した際、戦績は期待通りにはいかず、注目を集めるものの成績は振るいませんでした。

その後、メキシコのEMLLを中心に活動しつつ、1973年からはアメリカ南部にも進出。ジョージアでは、パンテラ・ネグラをパートナーに数々のタッグマッチを行い、フロリダやテキサスでも活動を広げましたが、なかなかタイトル獲得には至りませんでした。また、ロサンゼルスに住む間、宿敵ゴールドマンの妻の妹と結婚し、2人の息子をもうけました。1970年代後半、彼はアメリカのグリーンカードを取得し、セミリタイアしてアイスクリーム・ショップを開業。しかし、プロレスから完全に離れるわけではなく、時折試合にも参加していました。

1984年、プエルトリコにてリングに復帰し、メキシコシティへ戻ったシコデリコは、弟ドス・カラスと再びタッグを組むようになります。彼らは、ミル・マスカラスを加えたトリオとして「ロス・ブラソス」との抗争を展開。1989年にはティフアナのWWAでサンドカンとカオスをパートナーに世界トリオ王座を獲得しました。

1992年にはAAAの旗揚げにも参加し、当初はリンピオとして活動していましたが、エースのコナンとのトラブルによりルードへと転向しました。この抗争は盛り上がりを見せましたが、競合団体での妨害によってショーが中止され、シコデリコはAAAから解雇されてしまいます。 その後、体重が125kgに達し、古傷の右膝を悪化させたことで1996年に引退を決意します。

引退後、彼はアメリカのサンアントニオに定住し、中古車販売業に従事する生活を送りました。エル・シコデリコのキャリアは、多くのレスリングファンにとって記憶に残るものとなり、その足跡はプロレス界において歴史に名を刻むこととなりました。

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