エル・ソリタリオ

エル・ソリタリオ：黄金のマスクを被った孤高の戦士

エル・ソリタリオ（本名：ロベルト・ゴンサレス・クルス、1946年5月25日 - 1986年4月6日）は、メキシコ・ハリスコ州ヤウアリカ出身の覆面レスラーです。その華麗なファイトスタイルと黄金のマスクで、メキシコ国内外のファンを魅了しました。息子のエル・イホ・デル・ソリタリオもプロレスラーとして活躍しています。

デビューと初期のキャリア

エル・ソリタリオは、兄であるオトン・バンジカ（リングネーム）の紹介で、1960年に14歳という若さでプロレスデビューを果たしました。当初は、兄のリングネームを継承し、覆面レスラー「オトン・バンジカII」として活動していましたが、1962年12月にマスカラ・コントラ・マスカラ（敗者マスク剥ぎマッチ）で敗れ、マスクを失いました。その後、ディアブロ・ベラスコのもとで再びトレーニングを積み、1966年2月にエル・ソリタリオとして再デビューしました。

キャラクターと人気

「エル・ソリタリオ」というリングネームは、アメリカの活劇ドラマ『ローン・レンジャー』のメキシコでのタイトル「El Llanero Solitario」に由来します。プロモーターのレイ・プラタは、主人公が着けていた黒いアイマスクを模した縁取りの黄金色の覆面を彼に与え、西部劇のガンマンをイメージしたキャラクターを確立しました。

当初はルード（悪役）として活動していましたが、1972年12月にリンピオ（善玉）に転向。甘いマスクと孤高な雰囲気が女性ファンを中心に圧倒的な人気を博し、メキシコのマット界を代表するトップ・スターへと上り詰めました。

日本での活躍

1972年7月、日本プロレスの『サマー・ビッグ・シリーズ』に初来日。ジャイアント馬場や坂口征二ら、当時の日本のエースたちと対戦しました。同シリーズにはミル・マスカラスも参戦しており、メキシコやロサンゼルスでは敵同士だった両者のタッグチームが日本で実現し、大きな話題を呼びました。日本では、そのクールな佇まいから「孤狼仮面」という異名で呼ばれました。

1979年5月には、新日本プロレスの『第2回MSGシリーズ』にLLI（ルチャ・リブレ・インタナショナル）の提携ルートで来日。カネックとのメキシカン・コンビで注目を集めました。1981年9月には再び新日本プロレスに来日し、田園コロシアムで藤波辰巳のWWFジュニアヘビー級王座に挑戦しました。

タイトル歴と晩年

エル・ソリタリオは、数々のタイトルを獲得しました。NWA世界ミドル級王座、NWA世界ライトヘビー級王座、UWA世界ジュニアライトヘビー級王座などを獲得し、メキシコのマット界にその名を刻みました。

1986年1月にはLLIに復帰しましたが、同年3月末にモンテレイでの試合中に腰を強打し、歩行困難となる重傷を負いました。手術を受けるも、施術中に心臓麻痺を起こし、同年4月6日に39歳という若さで死去しました。

得意技

La Suástica（アブドミナル・ストレッチ）
La Filomena（スピンキック）
フライング・ヘッドバット

獲得タイトル

NWA世界ライトヘビー級王座：1回
NWA世界ミドル級王座：1回
UWA世界ジュニアヘビー級王座：1回
UWA世界ジュニアライトヘビー級王座：2回
UWA世界ライトヘビー級王座：1回
オクシデンテ・ウェルター級王座：1回
アレナ・メヒコ・タッグ王座：1回（w / エル・ハルコン）

エル・ソリタリオは、その短い生涯の中で、メキシコプロレス界に多大な影響を与えました。彼の華麗なファイトスタイルと黄金のマスクは、今もなお多くのファンを魅了し続けています。

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