カネック

カネック：仮面の魔豹、メキシコの英雄

カネック（本名：Felipe Estrada、1952年6月19日 - ）は、メキシコ・タバスコ州フロンテーラ出身の覆面レスラーです。マヤ、アステカなどのメキシコ古代文明の文様をモチーフとしたマスクが特徴で、「仮面の魔豹」「盗賊仮面」などの異名を持ちます。

リングネームは、スペインによる支配に反乱を起こしたマヤ系インディオの指導者、ハシント・カネックに由来します。

輝かしいキャリア

ボディビルで鍛え上げた肉体を持ち、1971年にプリンシペ・アスール（青い王子）としてデビュー。1973年にカネックとして再デビューし、ハム・リーのジムでトレーニングを積みました。

1975年1月29日、LLI / UWAの旗揚げ興行に出場。以降、UWAを主戦場に、1976年12月17日に北部ヘビー級王座を初戴冠。1970年代後半から1980年代にかけて全盛期を迎え、メキシコマット界の第一人者として活躍し、ミル・マスカラス最大のライバルとして知られました。

1978年3月に新日本プロレスに初来日。カール・ゴッチの指導を受け、同年8月27日にはルー・テーズを破りUWA世界ヘビー級王座を獲得。メキシコの団体において初の自国人ヘビー級王者となりました。その後、テムヒン・エル・モンゴル、ストロング小林、バッファロー・アレン、ビル・ロビンソン、タイガー・ジェット・シン、藤波辰巳、長州力、スタン・ハンセンら強豪を相手に防衛戦を繰り広げ、「UWAの帝王」として名を馳せました。

日本での活躍

新日本プロレスの常連外国人選手として、藤波辰巳との抗争は日本とメキシコを股にかけて展開。1979年4月のMSGシリーズでは決勝リーグに進出。1981年11月には初代タイガーマスクとも対戦。1983年5月にはIWGP決勝リーグ戦に出場。タッグリーグ戦にもスペル・マキナ、ペロ・アグアヨ、ドス・カラスらと出場しました。

1992年にはW★INGプロモーションに来日し、ミル・マスカラスとの日本における初対決が実現。IWA世界ヘビー級王座とUWA世界ヘビー級王座とのダブルタイトルマッチが行われました。2001年には総合格闘技にも挑戦しています。
2018年にはドラディションに参戦し、藤波辰巳との約30年ぶりの対戦が実現しました。

伝説の敵前逃亡事件

1978年3月の初来日時、藤波辰巳とのWWFジュニアヘビー級王座戦を当日キャンセルし、独断で帰国。この「敵前逃亡事件」は大きな話題となりました。

膝の負傷、新日本プロレス側からのコントラマッチの一方的通告、一部アメリカ人レスラーによる暴行などが原因とされていますが、翌1979年4月に再来日し、藤波のWWFジュニア王座に挑戦。以降も常連外国人選手として活躍し、汚名を返上しました。

得意技と獲得タイトル

各種バックブリーカー、ジャーマン・スープレックス・ホールド、フライング・ネックブリーカー・ドロップ、ロメロ・スペシャルなどを得意とし、UWA世界ヘビー級王座を15回、CMLL世界タッグ王座などを獲得しています。

カネックは、その強さとカリスマ性で、メキシコのみならず、日本のプロレス界にも大きな足跡を残した伝説的なレスラーです。

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