エロール・スペンス・ジュニア 対 テレンス・クロフォード戦

エロール・スペンス・ジュニア 対 テレンス・クロフォード戦：世紀のウェルター級統一戦

2023年7月29日、アメリカ・ラスベガスのT-モバイル・アリーナは、ボクシング史に残るであろう一戦の舞台となりました。WBA・WBC・IBF世界ウェルター級統一王者エロール・スペンス・ジュニアと、WBO世界ウェルター級王者テレンス・クロフォードが、ウェルター級初の4団体王座統一をかけて激突したのです。この試合は、「Undefeated. Undisputed. Unprecedented.」または「The Fight of the Century」とも呼ばれ、世界中のボクシングファンから熱い視線が注がれました。

試合までの道のり

両雄が頂点に上り詰めるまでの道のりは、それぞれにドラマチックでした。

エロール・スペンス・ジュニア：2017年5月、ケル・ブルックを破りIBF世界ウェルター級王座を獲得。その後も強豪を次々と退け、WBC王座も手中に収め、ウェルター級のトップ戦線に躍り出ました。
テレンス・クロフォード：2018年6月、ジェフ・ホーンを破りWBO世界ウェルター級王座を獲得。以前にはスーパーライト級でも4団体統一を達成しており、2階級制覇を狙います。

両者の対戦は、長らくボクシング界の悲願でしたが、なかなか実現には至りませんでした。しかし、ファンや関係者の熱い要望、そして両陣営の交渉の末、ついに夢の対決が実現することになったのです。

試合展開

試合は、クロフォードが序盤からスペンスを圧倒する展開となりました。卓越した技術とスピードでスペンスを翻弄し、着実にポイントを重ねます。スペンスも反撃を試みるものの、クロフォードのディフェンスを崩すことができません。そして9回、クロフォードがTKO勝利を収め、ウェルター級初の4団体統一王者という偉業を達成したのです。

試合後

勝利したクロフォードは、2階級での4団体統一という前人未到の記録を打ち立てました。一方、敗れたスペンスはプロ初黒星を喫し、王座から陥落。しかし、再戦を希望するコメントを残し、再起への意欲を示しました。

交渉の裏側

当初、両者の交渉は難航しました。しかし、クロフォードとスペンスは直接連絡を取り合い、対戦実現に向けて協力。スペンスは「クロフォード以外とは闘わない」と公言していたこともあり、最終的に合意に至りました。

試合結果と影響

この試合は、クロフォードが9回TKOで勝利し、WBA・WBC・IBF・WBO世界ウェルター級王座統一、並びにリングマガジン認定王座を獲得。クロフォードは2階級での4団体統一という偉業を達成し、ボクシング史にその名を刻みました。

ファイトマネーと入場

両者はそれぞれ2500万ドル（約36億円）を稼いだと報じられています。また、クロフォードの入場時には、人気ラッパーのエミネムが付き添い、会場を大いに盛り上げました。

評価

クロフォードの勝利は、ボクシング界から絶賛されました。『リング』誌の編集長は「彼は史上最高の選手の一人だ」と評し、レフェリーのストップも適切な判断だったと評価されています。

エピソード

アンダーカードで行われたWBC世界バンタム級王座決定戦で勝利したサンティアゴは、試合の約1ヶ月前に自宅が火災に見舞われるという苦難を乗り越えての勝利でした。

再戦とその後

スペンスは再戦条項を行使しましたが、2024年1月に右目の白内障手術を受けたことを明かし、先行きが不透明に。その後、再戦条項の有効期限が切れ、スペンスとの再戦は実現しませんでした。

放送

この試合はShowtimeのPPVで放送され、大きな反響を呼びました。

エロール・スペンス・ジュニア対テレンス・クロフォード戦は、ウェルター級の歴史を塗り替えるとともに、ボクシングファンに大きな感動を与えた一戦として、長く語り継がれることでしょう。

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